POLOのマークでもお馴染み、日本でもスタンダードなブランドのひとつであるラルフローレンが、窮地に追い込まれていることをご存知でしょうか? 今回の無料メルマガ『顧客を喜ばせる世界の成功企業最新戦略紹介』では、著者で米国ビジネスモデルコンサルタントの清水ひろゆきさんが、その原因を徹底分析。ファストファッションの台頭に焦りを感じたラルフローレンがおかしてしまった痛恨の「勘違い」とは一体何だったのでしょうか?
ラルフローレンは本当にファストファッションと競合したのか?
アメリカの大統領トランプ氏のファーストレディーが就任式に着用したことで、再び多くの人々に注目されたブランド、ラルフローレン。
ボロプレーヤーのロゴでおなじみのラルフローレンは、ネクタイの営業マンをしていたラルフ・ローレンが、1967年に幅の広い高級ネクタイの「POLO」(ポロ)ブランドを立ち上げたのが始まりです。
アメリカの3大ブランド、カルバンクライン、ダナキャラン、ラルフローレンの中で、40数年もの間、買収の波に飲み込まれず、デザイナー自身の名を社名にし、売上高8000億円を超えるブランドに成長したのは、唯一ラルフローレンだけでした。
しかし、2015年11月に創業者兼CEOのラルフ・ローレンが退任。
その後、2016年「米ラルフローレン」は正社員の8%に当たる約1,000人のリストラを実施し、米国内約50店舗を閉鎖することで経費削減を図る大規模な事業再編を発表しました。
同社の業績がこれほどまでに悪化した本当の理由とは、一体何なのでしょうか?
ファストファッションの台頭はラルフローレンの競合になったのか?
ラルフローレンは、アメリカン・トラディショナルの高級スーツやポロシャツなどがアイコンとなり、消費者を魅了してきたファッションブランドの代表的存在です。
が、今アメリカでファッションに興味のあるミレニアル世代(1980年代後半から2000年代前後生まれ、人口約8000万人で最大)は、常に何物にも束縛されず自由に自己表現をしたい(スマホがあれば全てができる)世代であり、アメリカン・トラディショナルのコーディネートのルール(レジメンタルタイをしめるなど、かっこよさでもあるが)は窮屈でダサいものと感じているようです。
感度の高い若者層(コーディネートを自己表現のツールととらえる)は、一例を挙げるとJクルーが展開している「リカーストア(酒場を店舗として演出)(後述)」のようなお店で買い物することを好みます。
ラルフローレンの業績が悪化したのは、同社がファストファッションを競合と認識し、ラルフローレンの商品をコモディティー化(価格や買いやすさだけを理由に選択されること)すればファストファッションに対抗できるのではと勘違いしてしまい、結果、同社の店舗(売り方)にはラルフローレン・ブランドだけが持つライフスタイルが注入されず、ラルフローレンの訴求するかっこよさが消費者に伝わらなかったからです。
ファストファッションの台頭とは、消費者が目まぐるしく変わるファッショントレンドに嫌気がさしつつも、流行をコスパよく買えるのはファストファッションしか選択肢がないという単なる現象で、この真実をラルフローレンが理解していれば、同社の事業再編は最大の効果を発揮できたと考えられるのです。
今の消費者が欲する、ラルフローレンなら買いたい!と感じるファッションとは
そこでラルフローレンは、「オールドネイビー」や「H&M」に在籍していたステファン・ラーソンCEOのもと、事業再編計画「Way Forward Plan」(「前向き」の意)を実施。
ブランドのグローバル展開に経営資源を集中するため、「ラルフローレン」「ポロ」「ローレン」の3つのブランドである「ラルフローレン コレクション」「ポロ ラルフ ローレン」「ローレン バイ ラルフローレン」というアメリカン・トラディショナルのアイコンとなるブランドに力を入れ、コアブランドの強みを活かし、且つオンラインショッピングで提供すべき経験や利便性についても補強する計画です。
現CEOは、H&Mやオールドネイビーで培った商品開発やマーケティング、顧客サービスの手法を駆使し、ラルフローレンというブランドを、経営モデルという観点から見直し、サプライチェーン(デザインから売場に並ぶまでの期間の短縮)のスピードアップを図り、業績を回復させようとしています。
ラルフローレン・ブランドの魅力とは、本来、退任したデザイナー、ラルフ・ローレンのポロの世界観を通じたライフスタイルそのものです。
それは2014年9月、NYにオープンしたレストラン「THE POLO BAR」のサラブレッドや乗馬を楽しむ人々を描いたポートレートや、“ポロマッチ”にインスパイアされた外壁やお店の内装に使用されたサドルレザーの豊かな香りと共に店内を彩る同ブランドのクッションや、プレート、カトラリーに囲まれたクラシックな生活なのです。
ラルフローレンの真の強さを活かす戦略には、H&Mやオールドネイビーには存在しなかったライフスタイルをアピールする手法が不可欠で、左脳的でロジカルな経営手法(商品開発やマーケティング、顧客サービス、リードタイム圧縮など)だけでは、同社のブランド価値を消費者に伝えることは難しいでしょう。
今、ラルフローレンという会社がすべきことは、デザイナー、ラルフ・ローレンの言葉である「私が手掛けているのはライフスタイルそのもの」に沿って、ファストファッションでは提案できないライフスタイルを軸に、高感度な若者が“かっこいい”と感じるお店を演出することなのです。
image by: BestStockFoto / Shutterstock, Inc.
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