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韓国でも疑問の声。「慰安婦像」が韓国分断のシンボルになる可能性

昨年末、釜山の日本総領事館前に設置された慰安婦像を巡り、日本側は駐韓大使を帰国させるなどの対抗措置を取りましたが、未だその解決の糸口は見えない状況です。そんな中にあって韓国の市民団体は新たに60体もの慰安婦像を設置する意向を示していますが、当の韓国国内から、これに反対する動きも出ているといいます。メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』では、慰安婦像についての数々の矛盾点を上げつつ、「このまま行けば像は韓国分断のシンボルとなる」との論を展開しています。

【韓国】慰安婦像は韓国分断のシンボルとなる

少女像設置めぐり緊張高まる 地元商人ら反対=韓国・大邱

韓国の市民団体が韓国国内に次々と少女像を設置していますが、さすがに韓国国民も辟易したようで、大邱市の繁華街である中区・東城路に市民団体が慰安婦像建立を推進していることについて、行政当局のみならず、地元の商人からも反対が起こっています

市民団体は「3・1独立運動が行われた場所として、大邱百貨店の前に慰安婦像を設置しようとしていますが、百貨店側からするといい迷惑でしょう。しょっちゅう反日デモが繰り返されれば、商売にも影響してきます。また東城路の商店主たちも、自分たちの家の前の土地だということで、絶対反対を叫んでいるようです。

韓国のネットでも「市民団体の金儲けの手段だ」「市民団体はまるで特権階級だ」「少女像が変質してしまった」などという声が続出しているようです。

韓国・大邱でも慰安婦像設置の動き、商店主らの反対で難航=「市民団体はまるで特権階級だな」「少女像のないところで暮らしたい」―韓国ネット

1919年の3・1運動は日本からの独立運動ですが、キリスト教団体が主導していました。現在でも韓国では約3割がキリスト教徒で最大の宗教となっています。そのキリスト教は偶像崇拝を禁じていますが、慰安婦像は韓国人の新たな偶像となりつつありました。

すでに韓国では60体の慰安婦像が増える見込みだそうです。このままいけば、韓国の至る所に慰安婦像が建つことになります。

韓国、国内で慰安婦像60体に増殖へ「『被害者モンスター』になっている」と専門家

私が韓国の「慰安婦像ブーム」を見てよく連想するのは、私の小学生時代に中国人が台湾に進駐してきて、日々学校で軍歌を教え、学生が街に出て密告運動を叫びながら隊列を組んで練り歩く姿、そして、あっというまに蒋介石の石像銅像半身像など4万体が作られたことです。

学校、病院から市町村の役所に至るまで、平均1平方メートルの空間があれば、一体以上の蒋介石像が設置されていきました。犬も歩けば棒に当たるというより、蒋介石像にあたるというほどだったのです。

しかし時代や政権が変われば、こうした蒋介石像を捨てるのも大変な作業でした。それは蒋介石にかぎらず、スターリン像もレーニン像も同じでしょう。

世宗大学教授のパク・ユハ氏は著書『帝国の慰安婦』で、日本軍が強制連行したのではないこと、慰安婦の斡旋に朝鮮人業者が多く関与していたことなどの事実を書き、あまりにも慰安婦が偶像化されていることを批判しましたが、そのために名誉毀損で刑事告発され検察から懲役3年を求刑されてしまいました。

『帝国の慰安婦』著者の朴裕河教授に懲役3年求刑 韓国検察「表現の自由の限界を逸脱」

それでも韓国司法にも少しは法の精神が残っていたのでしょう、裁判所はパク・ユハ氏を無罪としました。

『帝国の慰安婦』著者・朴裕河教授に無罪 韓国の裁判所、名誉毀損を認めず

こうした事実が少しずつ韓国社会にも出てきたこと、さらに2015年に日韓合意がなされたこと、日本人の嫌韓感情の高まりなどを前にして、市民団体による強引な慰安婦像設置を「慰安婦ビジネスや親北派による工作活動として捉える韓国人も多くなってきたと思われます。前述のネットユーザーの声がそれを表しています。これに対する嫌悪感が韓国国内で出始めたということなのでしょう。

そのため最近、韓国では慰安婦像を巡って国内が二分するような事態になっています。釜山の日本総領事館前に設置された慰安婦像では、その撤去を求める韓国人男性が「LOVE JAPAN」といったプラカードや反日感情の煽動を諌めるビラを貼ったりして、市民団体の間で摩擦が起きていると報じられています。

釜山少女像の周囲で「LOVE JAPAN」1人デモ…少女像保護団体人と葛藤

また京畿道議会の団体が竹島に慰安婦像の設置を推進する運動を起こしていますが、これに対しても韓国政府や竹島を管轄する慶尚北道から批判と反対の声があがっています。

[時論]独島への少女像設置推進 誤った

ちなみに京畿道は3・1運動でもデモの参加者が多かった地域であり、また北朝鮮と国境を接していることもあって、北朝鮮スパイもさかんに活動している地域と見られています。それだけに反日を利用した政治活動が起こりやすい地域でもあります。

それはともかく、慰安婦像をめぐり、今後は韓国内での分断が加速する可能性があります。次期韓国大統領は、親北で反日の文在寅が有力視されています。彼は慰安婦像の設置には賛成で日韓合意には否定的です。自分が大統領になれば、日韓合意を見直すとも発言しています。ただ、文在寅の政治姿勢はあの盧武鉉大統領と酷似しているということで、反対派も少なくありません。

トランプ大統領はアメリカ分断の象徴として語られますが、韓国も同様に分断の様相を呈してきているわけです。そして慰安婦問題が韓国を分断するテーマとなる可能性があります。

38度線は朝鮮民族分断の象徴ですが、これからは慰安婦像は韓国国民の分断の象徴として語られるのかもしれません。もはや慰安婦問題は日本とは関係なく、韓国の国内問題になっているわけです。

ちなみに、釜山の日本総領事館前に設置された慰安婦像は、もともと米軍の事故で亡くなった2人の韓国人少女がモデルであり、アメリカ大使館前に設置する予定だったのですが、アメリカ側から「そんなことをしてみろ大変なことになるぞ」と一喝されて、やむを得ず倉庫にしまってあった慰安婦像を「反日ならということで出してきたという話があります。

慰安婦像を聖女化すると、この先、朴槿恵像を慰安婦像としたり、慰安婦が国会議員になったり、あるいは韓国大統領に選出されるといったことも、韓国社会ではありえないことではありません。

慰安婦というブランドが売れるようなら、すぐに業者や美術家が真似をして、韓国は慰安婦像だらけの国家になってしまうでしょう。慰安婦の偶像化は、一部の業者が喜ぶだけで、「恨」が多少は解消されても、やはり子供遊びの域を出ません。韓国人の間でも、不協和音が出るのは当然です。

 

 

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台湾出身の評論家・黄文雄が、歪められた日本の歴史を正し、中国・韓国・台湾などアジアの最新情報を解説。歴史を見る目が変われば、いま日本周辺で何が起きているかがわかる!

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