科学者であるくられさんが毎回、暮らしに関する科学を紹介する無料メルマガ『アリエナイ科学メルマ』。今回は、人の食欲はどのようにコントロールされるのかを紐解きながら、ありがちな「食欲のエラー」や「○○ダイエットの間違い」について解説しています。
暮らしの科学 食欲と血液
我々の食欲は血中のグルコースが減り脂肪酸が増えてくるとグレリンなどのホルモンが分泌されて満腹中枢が抑制されて摂食中枢が優性になって「腹減った」と思うように指示が出ます。
食後は、量が増えたグルコース、それを取り込んで貰うために分泌されたインスリンなどのホルモンの信号によって満腹中枢が優位になって、摂食中枢が抑制される。
という仕組みです。ようするに摂食/満腹の2つのシーソーのバランスをとって、適切な食事をとるように体が出来ていて、本来は食べ過ぎて太ることも、食べなさすぎてやせ細ってしまうこともないわけです。
しかしながら、過食のひと、拒食の人というのが存在して、そういった人というのは、何かがきっかけて、そのバランスを崩しているわけです。
特に現代の生活スタイルは、夜も明るいことが普通なので、日周リズムにずれが生じたり、ストレスなどの環境要因で、夜中に急激にお腹が減ったり、朝に食べる気がしなくて、昼間に急激に空腹になって暴食なんてことになっていっておかしくなる…というのが食欲におけるエラーです。
なのでまずは、このリズムを治さない限り、バナナだけ食べようが、どんなサプリを飲もうが、ほとんど効果はないわけです。また、急激な糖質カットのダイエットも、短期的には痩せたりしやすいのですが、リバウンドのしやすさや臓器への負担というのが大きいのは、栄養学的に問題があるのはもちろん、糖質カットを異様に推進する人がバタバタと病気で倒れてニュースとなっているのを見ても明らかです。
なので太ってるから××すればいい。××だけすればOKなんてのは、千差万別の体質の前では本来あってはならないことなので自分の体質と相談しながら、どうしたら本来有るべき体の働きに戻せるかどうか…というのが健康的な食生活への道しるべではないかと思うわけです。
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