「転勤しろ!」「断る!」で解雇。会社を訴えたら勝てるのか?

 

会社が勝ちました。その懲戒解雇は有効と裁判で認められたのです。

さて、この結果についてみなさんはどう思いますか? 「転勤は会社命令なんだから従うのが当たり前」という人が、もしかすると多いかも知れません。ただ、その会社命令は必ずしも当たり前ではないのです。

別の裁判例があります。ある食品メーカーの会社で、転勤を拒否した社員が裁判をおこしました。その結果、会社は負けました。その転勤命令は無効であるとして、社員の転勤拒否を認めたのです。同じような転勤命令で、なぜこのように結果が違ったのか?

まず、前提条件をお話すると、会社は会社の都合で転勤命令を出すことができます。これは法律上、認められていることです。ただ、それには条件があります。まず、その内容が労働協約や就業規則に定められていること。そして、下記の3点に該当しないことです。

  • 業務上の必要がない
  • 転勤命令が不当な動機、目的である
  • (転勤命令を受けた)社員に著しい不利益を負わせるものではない

つまり、会社の転勤命令はなんでも認められる訳ではないのです。後者の裁判例で、社員の転勤拒否が認められた理由もここにあります。実はこの社員には、介護が必要な家族がいました。転勤をしてしまうと、この家族の介護が非常に困難になります。これを、裁判所は「転勤は社員に著しい不利益を負わせるものである」と判断したのです。

「転勤命令をするのに、その社員の家族の事情まで考えていられないよ」という人もいるかも知れません。また、「そんなのを認めてしまったら、転勤命令が出せなくなる」「転勤命令を出せるのが一部の社員に偏ってしまい不公平になる」と考える人もいるでしょう。確かに、ある程度前まではその考えで良かったかも知れません。実際に裁判になった例でも、会社の転勤命令を認めるケースが多かったのも事実です。

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