皆さんはエスカレーターに乗るとき、片側を空けて乗っていますか? それとも、横2列で乗っていますか? ネット上のニュースサイトで「片側空けはもう古い。これからは2列が当たり前」と報じられたことに、メルマガ『週刊 Life is beautiful』の著者で世界的プログラマーの中島聡さんは「片側空けの方が良いルール」と、報道内容に疑問を呈しています。
エスカレーターのおもてなし
最近、連続してエスカレーターの乗り方に関する記事を目にしました。
「エスカレーターの片側空けはもう時代遅れ 新マナー「立って2列」は定着するか」は日本語の記事で、片側を空けてエスカレーターを乗ること自体が間違っており、歩かずに2列で乗るべき、と言う話です。
この議論のきっかけになったのは、2015年にロンドンの地下鉄が発表した新しいルールです(参照:Tube station abandons “stand on the right” escalator rule)。運搬効率全体を考えた場合には、歩くことを禁止して、2列で乗った方が効率が良いというのが理由です。
これに対して、「エスカレーターは歩いた方が逆に安全、健康にも良い」と主張するのが、「Why You Should Always Walk on Escalators」と言うGIZMODOの記事です。私も、個人的にはこの考え方が好きです。
ロンドンの地下鉄の主張は、そもそもの目的が「運搬効率全体を上げること」にあるのであれば、正しいと思いますが、それは運営側のロジックでしかないと私は思います。
乗客側のニーズは、人によって異なります。「エスカレーターの上を歩くほどは急いでいない人」から「とにかく早く移動したい人」まで、様々なニーズがいる中で、「一列マナー」は「乗る人が選べる」という意味でとても良いルールだと私は思います。
しかし、運営側としてどうしても2列で乗って欲しいのであれば、今のエスカレーターのインターフェイスは非常に不適切で、何らかの処置をする必要があります。
このままでは「片側は急ぐ人のために空けておくべき」と信じている人と「立って2列が新マナー」と思う人との間で、いざこざが起こることは目に見えています。
例えばですが、エスカレーターの各ステップの両側に、両足で立った人の足跡を描くことにより「立って乗る場所」であることを明確にすると言うのも悪くないと思います。お金も手間もかかりますが、ここまで定着してしまった「常識」を覆すには、これぐらいの手間をかける必要があると思います。
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