今度は「お酒」も規制へ。日本の居酒屋文化は消えてしまうのか

 

日本政策投資銀行が2012年に発表した「酒類業界の現状と将来展望(国内市場)」によると、2010年の家飲み」による酒類の国内消費量の推計は2005年と比べて5%増となる39億リットルで増加傾向を示しています。一方、「外飲みは19%減の37億リットルで減少傾向を示しています。居酒屋を中心とする「外飲み」は苦境に立たされていることがわかります。

また、経済産業省は「酒類関連産業の動向と飲食消費行動の変化」を調べた調査で、「家飲みのための酒類の購入先を購入金額を元に世代別で順位づけしています。1位は全ての世代が「スーパー」で、2位は多くの世代で「ディスカウントストア・量販専門店」となっています。安売りしている業態が上位にきていることがわかります。

こうした調査結果から、居酒屋などで「外飲み」するのではなく、スーパーなどで安売りされている酒を購入して家飲みする人が増えているという消費者の実態が浮き彫りとなっています。

居酒屋は、大型の小売店による酒の安売りの脅威にさらされていました。今回の酒税法などの改正で居酒屋も救われる形になるでしょう。しかしそれでも、酒の安売りや若者の酒離れ、家飲み市場の拡大といった脅威が消えるわけではありません。引き続き厳しい状況が続くでしょう。

さらに、厚生労働省は居酒屋などの飲食店や公共の場での喫煙を全面禁止する「受動喫煙防止法案」の今国会での成立を目指しています。顧客の喫煙者の割合が大きい居酒屋業態の売り上げの減少は甚大と推測されています。

加えて、政府はアルコールの規制強化にも動いています。2014年に「アルコール健康障害対策基本法」が施行され、昨年5月に「アルコール健康障害対策推進基本計画」を策定しました。アルコール依存症や未成年者の飲酒、妊婦の飲酒など不適切な飲酒をなくすことを目的としています。

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