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中国の宅配業界が、別の意味で多くの問題を抱えている

最近、巷で話題となっている宅配業者の人手不足。アマゾンなどのネット通販の利用が拡大したことにより、日本の物流大手ヤマト運輸が昼間の一部時間帯の配達指定を中止すると発表したのは記憶に新しいところです。たった人口1億人強の日本ですらこの状況で、13億人以上の人口を抱えるお隣・中国のEC市場ではどのような問題が起きているのでしょうか? メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』の著者で台湾出身の評論家・黄文雄さんが、日本、台湾、中国それぞれのネット通販の現状と問題点を詳しく分析しています。

【日本・台湾・中国】いくらネット通販が発達しても中国は無理

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ネット通販が日常化している今、まさに揺り籠から墓場までネットで買い物ができるようになりました。リアル店舗には進出できなくても、ネットショップなら開店できるという人も多いでしょう。

まさに需要と供給の双方がバランスよく増加して、利用者の利便性も高まりました。そんな状況下で、日本では物流の問題が起こっています。物流大手のヤマト運輸は、ネットショップの拡大によって宅配便の個数が激増している上に、時間指定、再配達などに対応しなければならず、現場の人手不足は深刻で、いくら残業してもさばききれないと悲鳴をあげています。

そうした問題を解決するためにヤマト運輸が出した結論は、一部のサービスは時間指定を受けないことと、宅配料の値上げです。ネットショップの流れは誰も止めることはできません。社会のインフラが、そうした状況に合わせて変化するしかないのです。

そして、ネットショップ時代は第二段階を迎えています。上記のニュースにあるように、これまで多くのショップは楽天やアマゾンなどのEC(大手電子商取引)モールに出店するのが通例だった状況から、独自のサイトで出店するケースが増えてきているというのです。

大手のモールでは、サイトのページはモールに合わせたデザインを採用しなければならない、メールのやりとりの数にも制限があるなど、様々な制約があります。また、テナント料はもちろん、モール内で自社商品が埋もれてしまわないように広告を打つ必要あり、そうした費用も経営を圧迫します。それならばと、モールを飛び出し自社サイトで勝負する企業が増えているようですこれだけネットショッピングが定着してきた今だからこそできることです。

また、越境ECとして、国境を越えてネットショップを展開するケースも多くあります。この際、進出する国でのネットインフラや物流が整備されているかどうかがカギになります。そういう意味で進出しやすい国のひとつとして挙げられているのが台湾です。

台湾は、日本同様に3つのECモールが人気を集めており、主な利用者は20~30代の世代という統計が出ています。この世代では、スマホの普及率は70%以上と高く、フェイスブック利用者は1800万人にものぼります。ネットショッピングを利用した際の決済方法も、日本同様の選択肢があり、代引き、コンビニ払い、クレジットカード、後払いなどから選ぶことができます。

● 越境ECの市場としての台湾とは?

一方で、越境ECの世界でも最大の市場と言われている中国ですが、確かに需要と供給は激増しています。中国のモールの代表格は皆さんご存知のアリババで、日本や海外旅行をした中国人が、外国で購入した商品の中で気に入ったものを帰国後にネットで注文するという傾向があるようです。そのため、2016年の中国におけるネット通販は1兆円を突破したとのニュースがありました。

● ネットで爆買い?中国の通販買い物、1兆円突破

しかし、先にも述べた通り、ネットショッピングが普及する条件としては、ネットを取り巻く環境が整備されている社会であることが大前提です。

通信環境、物流、決済方法などの整備がなされていて初めてネット通販が機能するわけです。そうした環境が、中国はあまりにお粗末です。特に日本のメディアで散見できるのは、物流における最悪な状況です。

ネット通販の普及により、中国の宅配便も激増しています。それに対応するには、システマチックな配送方法が必要ですが、もちろん中国の企業にはそんな対策はありません。激増する荷物が集積場に山積され、配達員は焦りもせず荷物を乱暴に扱いながら仕分けするのが現状です。

以下のサイトでは、中国のCCTVテレビの記者が、深センの集積所で宅配便の荷物がどう扱われているかを隠し撮りした動画があります。荷物の上に座る、荷物を投げる、足で蹴る、荷物の包装が破けるなんて序の口で、仕分け人が伝票の内容物を見て、食品の場合、躊躇することなく開けて食べる欲しいものが入っていれば開けて持ち去るなどという非文明的なことが普通に起こっています。

● 中国宅配業者の実態!乱暴な扱いは日常茶飯事、しまいには商品を盗み食い

動画の中では、キャンディーが入った箱を勝手に開けて食べ続けている様子が映っています。こんな状況であるために、中国では注文したもの、または親族や友人などへ宛てた荷物が無事に届かない届いても中身が開けられている破損しているなどという苦情が多く、しびれを切らした利用者が集積所へ行って自ら自分の荷物を探し出すこともあるそうです。

中国の流通は、以前は軍部によって独占されていたため、国営企業は例外としても、民間企業は触れることができませんでした。しかし、ご存知の通り中国とはコネとカネがモノを言う世界です。

日本の流通業者、ことに物流を必要とするチェーン店の経営者が中国で商売する場合、時が経つとともにブローカーからの入れ智恵で、カネとコネの使い方を学びながら中国での生き残り方法を学んでいくわけです。まともなビジネスが通用する国ではありません

image by: TonyV3112 / Shutterstock.com

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