「ディズニー神話」に崩壊の兆し。TDR、今後の成長に灯る黄色信号

 

外部環境も予断を許さない状況です。大阪ではUSJが勢いを得ています。佐世保ではハウステンボスが異彩を放っています。2010年にHISがハウステンボスを傘下に収め、「変なホテル」を隣接させるなど、パークの魅力を高めています。今年4月には名古屋にレゴランドが誕生しました。昨年6月には上海に上海ディズニーリゾートが開園しました。手ごわい競合が誕生・成長しているのです。

ディズニーには強力なリピーターが存在すると言われています。ただ、うかうかしていられない状況でしょう。競争は激化しています。「美女と野獣」や「ソアリン」などの導入だけで3000万人レベルを維持できるかどうかは不透明です。

大規模開発を行った後の不透明感も漂います。新規で建設できる事業用地用のスペースは限られています。バックヤードの集約や駐車場の立体化などで創出することはできますが限定的といえるでしょう。TDSの北側にある本社跡地の活用、ロジスティクスセンターやセントラルキッチンの移設などで確保することも考えられますが、それでも中長期的にはいずれ枯渇します。

舞浜地区以外での動きもあります。沖縄県宜野湾市が2015年末にTDRの誘致を要請しました。もしこれが実現されれば、分散化を図ることができます。混雑の緩和が期待されます。しかし事態は流動的でどうなるかはわかりません。

少子高齢化の進展も中長期的には大きな脅威です。入場者は40歳未満で8割を占めるため、若年層の減少は入場者数に大きく影響します。65歳以上に割安チケットを発行し、シニア向けのサイトを構築するなど対策を講じていますが、さらなるシニアの呼び込み策が不可欠といえます。

テーマパーク以外の新規事業の育成も必要でしょう。オリエンタルランドの子会社は大手不動産会社と組み、沖縄で大型リゾート施設を開業します。昨年10月に着工し、2018年の夏に開業を予定しています。このような、舞浜地区以外の非ディズニー事業を育てることも必要でしょう。

2020年以降は大規模開発の効果もあり、入場者数の増加と顧客満足度の向上が期待できるでしょう。ただ、それまでに競争力が衰え、ディズニー神話が崩壊しないとも限りません。2020年までが勝負といえそうです。

 

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 「企業経営戦略史 飛躍の軌跡(クリエイションコンサルティング)

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東京MXテレビ『バラいろダンディ』に出演、東洋経済オンライン『マクドナルドができていない「基本中の基本」』を寄稿、テレビ東京『たけしのニッポンのミカタ!スペシャル「並ぶ場所にはワケがある!行列からニッポンが見えるSP」』を監修した、店舗経営コンサルタント・佐藤昌司が発行するメルマガです。店舗経営や商売、ビジネスなどに役立つ情報を配信しています。

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【著者】 佐藤昌司 【発行周期】 ほぼ日刊

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