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【書評】「効き過ぎる」から目の敵にされる、がんの治療法とは

医療界の嘘や罪を告発した書籍が話題になっています。無料メルマガ『クリエイターへ【日刊デジタルクリエイターズ】』の編集長・柴田忠男さんが今回取り上げているのは、「がん治療の現状をこのままにしては、患者は救われず、国が滅びてしまう」という思いが現役の臨床医に筆を執らせた一冊。そこには、「効きすぎるから認められない療法の存在」など、まさに「医者の罪と罰」が圧倒的筆致で描かれています。

医者の罪と罰
石井光・著 幻冬舎

石井光『医者の罪と罰』を読んだ。幻冬舎の本にはいつもケチをつけてしまうわたしだが、それには理由がある。今回は新書なら780円の本を全書版にしただけで1,100円とはな。しかも行間スカスカで、白いスペースが多く、ようやく厚みを確保している。情報量が多くないのに高すぎる。

筆者は現役の臨床医で、前著『医者の嘘』を上梓したとき相当の反発を覚悟したそうだが、医療界から直接の反論や批判はなかったらしい。内容に賛同し激励してくれた人からは、身辺に気をつけるようにと異口同音に注意されたという。幻冬舎から続編を要請され、再度、危険を顧みず医療の問題点を世に問う。

最近、飲んではいけない薬、受けてはいけない手術、ジェネリック医薬品の問題などが週刊誌などで盛んに報道されているが、それらは筆者が2014年に前著で警鐘を鳴らしてからだ。がん治療の現状をこのままにしては患者は救われず国が滅びてしまうという強い危機感がこの本を書かせたという。

筆者は70歳の内視鏡専門医で、生涯の内視鏡件数は5万件を超えるそうだ。発見したときはすでに手遅れの進行がんという場合が少なくない。そういう患者を助けるには、手術、抗がん剤、放射線という標準治療が施されるが、それより効果的で優れた治療が、筆者が進めるANK免疫細胞療法であると主張する。

私の定年は、全国のがん専門医が、免疫を温存する分子標的薬と強力な免疫療法の併用でがんを完治させることに理解を示し、病診連携で協力体制を築いてがんサバイバーを増やし、国民医療費を削減して国家財政の破綻を回避する筋道をつけたときです。

だが現状は免疫療法に拒絶的な医者が圧倒的に多い。

がんと診断されても治療せず放置しなさい、いまだにこんな妄説を勧めて治療のチャンスを奪っているのが、30分3万円のセカンドオピニオンを経営するあの有名な近藤誠医師である。彼の言う「放置しても進行しないがんもどき」という都合のいい細胞は存在しない。一人の医師の唱える机上の空論である。

「がん化」は段階的に起こる。粘膜内にとどまっているうちが完治のチャンスである。また近藤理論では「がんを治せる治療法はない」という。多くの医師もそれには同感らしい。彼らの頭には標準治療の世界しかないからだ。そして、完治は不可能なのに延々と抗がん剤を用いて、国民医療費を無駄遣いしている。

ANK療法は「効き過ぎるから医師を含めたがんビジネスに携わる人々の目の敵だ。儲けの種を奪われるからと、10年以上もANK療法を黙殺してきたが、条件付きだがようやく自由診療も可能になった。また再生医療関連3法の施行で、iPS細胞と同じ枠組みでANK療法も「公的に」扱われることになった。

医者の罪と罰を列挙すると、机上の空論・放置療法、使命放棄・医者の怠惰と無知、患者無視・治療選択の妨害、欺瞞の渦・医者の嘘と隠蔽。マスコミの罪と罰・いきすぎたがん報道。製薬/サプリメント業者の罪と罰・薬の真実。日本は時代遅れ・理想のがん治療設計。目次、構成がうまいな、さすが幻冬舎。

石井光は文藝春秋に呆れ果てる(B社と匿名だが)。文藝春秋、ムック、新書、文庫など、社を挙げて近藤誠を猛プッシュし続け、お手盛りで菊池寛賞まで与えている。近藤誠のがん放置理論の誤りは川島なお美の件でも明らかである。これからどうするんだ、文藝春秋。他人事ながら心配(&面白)だ。

編集長 柴田忠男

 
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