政府主導の「外国脅威論」にダマされるな。日本人が幸せになる方法

 

周辺国とのイガミ合いに増税

東アジアは世界最大級の武器市場である。幕末前後、日本に提供された欧州製の武器から、終戦までアジア広域で使用された日本製のもの、そして戦後の日米共同製造のものまで膨大な量の兵器が行き交う歴史ある武器市場である。

日米政府は中国の軍拡を取り上げてはいるものの、それは「市場活性化に向けた広告のようなものであって、これまで日米が地域で取り扱ってきた規模には遠く及ばない。

また、東アジアは明治に始まる日本の本格的な世界デビュー以降、地域外勢力の関与をもって分断と緊張の歴史を綴っている。それまで数千年の均衡を保ってきた地域のバランスに、外部の支援をもって大きな「変更」が加えられ、それが今に続く地域間紛争の原点となっている。

マット・リーヴス監督の映画、猿の惑星「新世紀」では、併存か戦争かの駆け引きや、対立によって失われる和平、それによって利する者などが、「人類vsエイプ」を通じて見事に映し出されている。

歴史(=相手)を知らず、また知ろうともしない若者が、対立主義者に「愛国心」をかき立てられて戦争へと向かい、多くの仲間を犠牲にしてようやく間違いに気付くのである。

映画の外の我々の世界では、第三の勢力も加わって事態はもっと複雑であるが、共通して言えることは、地域分断によって利する勢力に支持される政権は対外的な緊張関係を和らげる外交に尽力しないという点である。

分断を扇動する者は、分断対象の民族や地域の未来へ責任を負う立場にない場合が多そうである。彼らは、自身や所属団体等を何らかの形──経済的、政治的、イデオロギー的など──で、利する目的が第一にある。

分断された地域は弱みを植え付けられ、そこを突く隙を外部へ提供し、その隙間に入り込む国家の枠を超えた資本が利権構造化し、地域主体の問題解決を遠ざけるという負のスパイラルに陥る。

その先にあるものは、周辺国とその市民らに対するヘイトであり、国際社会はそのような地域の分断を世界中で嫌というほど見てきた。

結局のところ、そうした地域の分断と緊張は、政治とそれを支援する国内外勢力の都合に終始すると言っていい。それは、武力傾注を意味し、増税、社会保障費増等が正当化され、当然その分、市民生活は質の低下を強いられるのである。

その一方で、外部勢力と共にグローバルな成長を遂げたエリート企業や、いわゆる保守、エスタブリッシュメントなどと呼ばれる層は、国際資本との強い結び付きの中で、現在、この上ない蓄財環境を謳歌している。

これが、東アジアが目指した本来の姿だったとは到底思えない。最終的に、大局的に見た地域の繁栄は共存共栄を基礎とする発展以外にあり得ない。現在のような地域分断──どちらへ付くかといった情勢にあっては、地域外勢力に力を与え続け、それらが存在感を示し、アジア本来の独自発展は抑制を解かれることがなさそうである。

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