「接客は好きだけど、商品以外の話を長々としてくるご年配の人はちょっと…」と、苦手意識を抱く店員さんは少なくないようです。接客販売業で日本一の成績を獲得したこともある無料メルマガ『販売力向上講座メールマガジン』の著者・坂本りゅういちさんも、かつて「相談事」を持ちかけてくるご年配の方への対応に困ったことがあるのだとか。しかし、同じく接客業に就くご自身のお母様から、そんなお客様との接し方を学んだといいます。その「接客術」とは一体…?
相談事を持ち込むお客様
特にご年配の方とお話をしている時に、よく相談事をされませんか? 「実は最近、こんなことがあってねぇ…どうしようかと思ってるのよ」みたいな話のことです。
私は百貨店や、商店街のお店やコンビニで働いていた経験があるせいか、こういうご年配の方とよくお話をする機会がありました。そこである程度仲良くなってくると、一見相談事にしか聞こえないような会話になるのです。
こんな場合に、「それなら〇〇したらいいですよ!」と意気込んでお伝えしていたこともあります。しかし、なぜかお客様はピンと来ていません。そして、結局そんな改善案は無かったことのように、また相談事をしてきます。
これがなぜなのか不思議だったのですが、ある時、母親が話しているのを聞いて納得しました。年齢的に私の母親はまだ年配というほどではありません。ですが、彼女も接客業でご年配のお客様とめちゃくちゃおしゃべりをします。それはもう異様なほど、ご年配の方と仲が良いのです。
なぜかと思って観察していると、あることに気づきました。誰も解決してほしくて、話をしにきているのではありません。母がやっていたことは、ただ話を聞いていただけなんですね。
お客様「この間こんなことがあってねぇ」
母「あらーそうですか。それは大変ですねぇ」
本当に、ただただこんなことの繰り返しなんです。そこに相談事の解決策や、改善案はどこにもありませんでした。これに気づいてから、私も真似して話をひたすら聞くことに徹してみることになります。
結果は、お察しの通りです。お客様は話をしにきて、ある程度満足したら商品を買って笑顔で帰って行かれます。そしてまた来店されて、話をして帰っていくんです。
誰だって、相談したいこと、それなりに解決したいと思っていることはあります。でも、それを解決するのは、販売員の役目ではありません。そりゃ時には、そうなることもあるでしょう。でもだからと言って、販売員が解決してあげようと躍起になる必要はないのです。
販売員とお客様という、知人でも友人でもない立場と関係だからこそ、気兼ねなく話ができることもあります。その話を聞いてもらうことで、お客様は満足することだってあるんです。特にご年配の方は、それが顕著。
本当に相談されていたり、解決に向かって動いているお客様なら話は違います。でも、そこの見極めをしっかりして聞き役に徹することが、良の場合も多々あります。
あなたに話をしにくるお客様はどちらのパターンでしょうか?しっかり見極めて選択しましょう。
今日のおさらいです。
- 聞き役に徹するか、答えを提示するかはお客様によって変える。
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