共謀罪を可決させたのは「情報発信はメディアがやれ」という空気

 

水越伸・東京大教授によると、リテラシーは3つのフェーズがあって、「メディアの使用能力」「メディアの受容能力」「メディアの表現能力」に分かれる。そしてそれは、「3つの能力はどれかが中心で重要だというような性格のものではなく、たがいに関係しつつ全体としてメディア・リテラシーの総体を構成している」(水越教授)という。

今の日本社会に置き換えれば、スマートフォンやパソコンの普及により使用能力は高水準だが後者2つの能力はほとんどないに等しいだろう。その教育をどこも担ってこなかったからである。

結果として、この3つがそれぞれの能力水準をかけ合わせて相乗効果で総体の「力」を発揮するところが、後者2つがゼロもしくはマイナスだから、総体の値は上がらない。だから、共謀罪を受けとめる市民にメディアの論理は響かないのであろう。かといって嘆いてばかりでは仕方がない。この教育を、どこかでやらなければならない。さもなければ本当に手遅れになってしまう。共謀罪が悪用されないためにも、私たちはまだやることは多い。メディアには市民の中のという意識への覚醒を求めたい。

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特別支援教育が必要な方への学びの場である「法定外シャローム大学」や就労移行支援事業所を舞台にしながら、社会にケアの概念を広めるメディアの再定義を目指す思いで、世の中をやさしい視点で描きます。誰もが気持よくなれるやさしいジャーナリスムを模索します。

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