先日「トランプのFBI長官解任騒動は、第2のウォーターゲート事件なのか」という記事で詳しくお伝えしたように、FBIの長官・コーミー氏を解任したことで崖っぷちに追い込まれてしまった米トランプ大統領。世界情勢の裏側に詳しい高城剛さんは、自身のメルマガ『高城未来研究所「Future Report」』で、今回の「ロシアゲート」事件の背後にいる人物として、あの大統領選で戦った「ヒラリー氏」を名指ししています。
トランプを追い詰める「ロシアゲート」事件とヒラリーの関係とは?
今週は、ロシアとの関係をマスコミから追求されるトランプ政権と、その背後関係につきまして、私見たっぷりにお話ししたいと思います。
この数週間、米国メディアが「ロシアゲート」と騒ぎ立てているのが目につきます。
「ロシアゲート」とは、米国トランプ大統領が「ロシアと繋がりがある」という疑惑のことで、発端は昨年の米大統領選挙時に、ロシア政府がトランプ陣営に有利な働きかけを行ったとされる問題ですが、現時点で具体的な証拠はありません。
しかし、先日もお伝えしたFBI長官解任騒動から、一気にこの問題が再燃しました。
すなわち、炎上の発火点はFBI長官コーミーの解任にあります。
まず、「ロシアゲート」と呼ばれるネーミングは、米国大統領史上最大のスキャンダルと言われた「ウォーターゲート」事件から来ています。
「ウォーターゲート」事件は、1972年の大統領選挙戦のさなかに、当時のニクソン共和党政権の野党だった民主党本部があるウォーターゲート・ビル(ワシントンD.C.)に、何者かが盗聴器を仕掛けようと侵入し、警備員に発見されて警察に逮捕されたことに端を発します。
その後、司法妨害、証拠隠滅、特別検察官解任、大統領弾劾発議が起こり、ついにはニクソン大統領が辞任するに至ります。
この一連を「ウォーターゲート」事件と呼んでいます。
この「ウォーターゲート」事件になぞらえ、トランプがロシアと密通していたことを、米マスコミは「ロシアゲート」事件と「炎上」させたいのでしょうが、そのネーミングからして、マスコミ大合唱のゴールはトランプ大統領の辞任にあります。
繰り返しますが、証拠はひとつもありません。
トランプ政権は、閣僚人事を見ても「親ロシア」が多いのは事実で、この背景には、中東の石油頼みだったエネルギー政策を、様々なリスクと雇用の観点から国内生産と、別の可能性を探る点にありました。
第一にエネルギーの国内生産量をあげるために、環境政策が足かせとなりますので、本日6月2日ホワイトハウスから発表があったように、地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」から正式離脱し、米国内に巨大なパイプラインを引いて、雇用を確保しようとしています。
そしてもうひとつ、中東以外の石油確保の可能性として、ロシアとの北海油田の共同開発を目論んでいます。
そこでもし、今後米国のエネルギー政策が本格的に「脱中東」になってしまうと、いままでの中東利権の人たちは、大変困ることになります。
何度も戦争をしてまで中東で力を誇示し、「中東を制した者たちが、米国を制する」とまで言われていたのに、米国が中東と距離を置くようになってしまうと、死活問題になってしまう人たちがいるからです。
この中東利権のトップのひとりが、前政権の国務大臣だったヒラリー・クリントンです。
ヒラリーは、一部「メール問題」で明るみに出たように、表に裏に、中東で多くの問題を引き起こしてきました。
カダフィ惨殺からリビアの国家資産を使ってISヘ間接投資、これらの報復として殺された米駐リビア大使を見殺し同然にするなどの詳細が書かれた「メール」を非公開にし、「なかったこと」にしたのが、解任されたFBI長官コーミーです。
コーミーは、ヒラリーによって抜擢された司法長官ロレッタ・リンチとともに、メール問題を、最終的に刑事起訴に値しないと発表しました。
その発表の直前、プライベートジェットなかで、ビル・クリントンとロレッタ・リンチが密談していることも明るみに出ていますが、当人たちは「ただの世間話」だとコメントしています。
トランプは、まだ大統領になる前に、ツイッターで「この国の司法制度は腐っている」と発言した所以が、ここにあるのです。
現在、「ロシアゲート」事件と「炎上」させているのは、米国の中東利権の人々です。
そして、その背後にいるのは、クリントン家に間違いありません。
昨年の米国大統領戦は、いまだ続いているのです。
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