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今のビットコインの乱高下をどう思うかで、あなたの性格がわかる

2015年の夏以降、専門家も目を見張るほどの上昇トレンドを見せてきた「ビットコイン」。しかし最近になって、バブルが弾けたかのように4割近くも暴落したことが話題になりました。この「乱高下」を繰り返すビットコインについて、Windows95の設計に携わった世界的プログラマー・中島聡さんは、自身のメルマガ『週刊 Life is beautiful』で「株と違って企業のような実体もなく、価値も生み出さず、通貨からは程遠いもの」と厳しい見方を示しています。

ビットコインは「仮想通貨」なのか、それともただの投機対象なのか?

先日、ビットコインが4割ほど暴落し、話題になりました(参照:仮想通貨民に激震、ビットコインもリップルもXEMもだいたい全部暴落。1日で半値に)。何が起こっているのかが分かりやすいように、過去8年のチャートを下に貼り付けます(bitcoincharts.com で生成)。

 

2013年の年末に、価格が急速に上昇しましたが、バブルが弾け、そこからはさらにジリジリと値を下げ、2015年は年間を通して低迷していました。しかし、2016年から再び上昇し、2017年に入ってからは2013年を思わせるような急騰をしていました。今回の急落は、それに対する反動(バブルの崩壊)です。

このチャートを見て、「どう思うか」でその人の性格が良く分かります。

儲け損ねた」「ビットコインって儲かるんだ!」と思った人は、典型的なカモ金融詐欺などに引っかかりやすいタイプなので、注意が必要です。

ビットコインは「仮想通貨」と呼ばれていますが、「通貨」とは程遠いものです。どちらかと言えば、株などの金融商品に近いのですが、株のように「企業」という実態もないし、利益を生み出すわけではないので、「100%投機的」です(投機的、の意味は次に説明します)。

人々が金融商品を買う理由は、大きく分けて二つあります。

一つは、その実態が生み出すであろう価値への投資です。企業による設備投資や研究開発投資の結果としての継続的な利益の結果、配当が増えたり、株価が上がったりすることを期待して、長期的な視点で株を購入することを指します。

それに対して、投機は、「他の人たちがこの株の価値をどう評価するか」という他の投資家・投機家の心の動きの変化を捉えて短期的に利ざやを稼ごうとするものです。「この会社はすごい新製品を発表するらしい」、という噂をベースに株価が徐々に上昇する局面で早めに株(もしくは「株を現在の値段で購入する権利」)を購入し、株価が上がったところで、実際の新製品の発表の前に売り抜けてしまうような行動が、典型的な投機です。

さらに問題を複雑にしているのが、株価の上昇局面では、人間には「まだまだ上がるに違いない」という「欲張りな心理が働き、逆に株価の下降局面では、「このまま底なしに下がってしまうのかもしれない」というパニック状態に近い心理が働くため、結果として、株価の乱高下を招くのです。

ビットコインは、株と違って、その後ろに企業のような実態もないし、(企業の利益のような)価値も生み出しません。そのため、売買する人たちは、基本的には、規制当局の目を盗んで資産を海外に移動する人たち(マネーロンダリング)と、利ざや稼ぎを狙った投機家たちだけです。

なので、ビットコインの価格が、上のグラフのような乱高下を繰り返すのは当然なのです。

2017年に入ってからの価格の上昇が「まだ上がるかも知れない」と考える、いわゆる「欲の皮の突っ張った人たち」によるバブルであり、バブルが崩壊する前に上手に売り抜けることが出来た人たちだけが儲けることが出来る「限りなくギャンブルに近いマネーゲーム以外の何者でもないのです。リスクを承知で、ゼロになっても構わないお金で宝くじを買うような気分で遊ぶ分には良いですが、これで生計を立てようとか将来の蓄えを作ろうとしては絶対にいけません

もしあなたの周りに、ビットコインの購入を勧める人がいたら注意が必要です。その人は、必ずしもあなたのことを考えて発言しているとは限らないのです。

国民生活センターの「知人からの勧誘、セミナーでの勧誘による仮想通貨の購入トラブルにご注意-『必ず儲(もう)かる』という言葉は信じないで!」と言う記事には、仮想通貨に関する相談が増えていると書いてありますが、2016年度で634件、リスクも理解せずに仮想通貨を購入してしまった人の数ははるかに多いと思います。

ちなみに、以前から強く思うのですが、ネズミ講、エセ科学、仮想通貨のリスクなどに関しては、高校で必修項目として教えるべきだと私は昔から考えています。後を絶たない被害者を増やさないためには社会に出る前に子供達に徹底的に教えるしかないと思います。

参考文献:「仮想通貨」は通貨ではない、ましてや金融商品ですらない。

image by: shutterstock

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マイクロソフト本社勤務後、ソフトウェアベンチャーUIEvolution Inc.を米国シアトルで起業。IT業界から日本の原発問題まで、感情論を排した冷静な筆致で綴られるメルマガは必読。

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