離婚したら「年金半分よこせ!」が通用するというのは本当か?

 

まず夫の「婚姻前」の老齢厚生年金月額2万円、「婚姻後」の老齢厚生年金月額は8万円。妻の厚生年金記録は婚姻後の老齢厚生年金月額1万円のみ。これを夫から妻に厚生年金記録を半分分けると…

(夫の婚姻期間中の老齢厚生年金8万円+妻の婚姻期間中の老齢厚生年金1万円)÷2=4万5,000円。

よって年金の離婚時分割後の夫の老齢厚生年金月額の総額は、2万円+4万5,000円=6万5,000円(年額78万円)。

一方、妻の老齢厚生年金月額の総額は4万5,000円(年額54万円)となる。

年金の離婚時分割後の夫の年金総額は老齢基礎年金75万4,947円+老齢厚生年金78万円=153万4,947円(月額12万7,912円)。離婚時分割しない場合の年金総額195万4,947円よりも42万円の減額になりました。

妻は老齢基礎年金61万6,946円+振替加算7万4,692円+離婚時分割後の老齢厚生年金54万円=123万1,638円となる。

しかし、この年金の離婚時分割により妻は20年以上(この夫から267ヶ月と妻自身の48ヶ月合わせると315ヶ月)の厚生年金期間があるものとみなされ、振替加算7万4,692円は消える(失権)。

※注意

婚姻から離婚までの期間の厚生年金保険料納付記録が分割されますが、期間そのものを相手に与えるわけではなくて「みなしている」ので、離婚分割の期間で年金受給資格期間25年(平成29年8月から10年)を満たせるわけではないので厳重注意! 年金受給資格期間はあくまで個人が年金に加入して自分で期間を満たさなければ年金は貰えない。年金加入期間を分割はしない。

よって、妻の年金の離婚時分割後の年金総額は老齢基礎年金61万6,946円+離婚時分割後の老齢厚生年金54万円=115万6,946円(月額9万6,412円)。

まあ、振替加算7万4,692円は消えましたが…離婚時分割しない場合の年金総額81万1,638円よりも34万5,308円増額しました。だから、夫の年金総額195万4,947円を単純に半分貰うわけではないので誤解のないように(^^;;

年金の離婚時分割の請求は離婚日の翌日から2年以内に請求し(年金の標準報酬改定請求)、請求月の翌月から年金額が変更になります。また、自分の本来の年金支給開始年齢が来ていない人は本来の支給開始年齢が来てからの支給になります。

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