喫煙者数は増えている。「途上国」で巨大化するアジアのタバコ企業

 

アジアの振興タバコ会社

そのような状況で乱入会社が多数出てきました。アジア各国政府が部分的に指揮経営をしているアジアの振興タバコ会社たちです。これらの会社は、各国政府のバックアップも受けながら、かつグローバリゼーションのシステムをうまく利用して世界進出しています。

その中で市場価値世界第3位に躍り出ているのが、なんと日本たばこ(JT)のJapan Tobacco Internationalです。JTIは1999年に設置され、すでにRJレイノルズやレームツマ、ギャラハーなどを買収し巨大多国籍企業となりました。日本に続いて、韓国やタイ、台湾そして中国のタバコ会社が多国籍企業となって拡大路線に参戦しています。

1980年代まで、アジア各国のタバコ会社は専売公社の立場でほぼ独占的に国内のシェアを確保していました。そこでアメリカの貿易代表やWTOが市場の解放を求めてきました。その結果、市場開放したアジア各国のタバコ会社におけるマーケットシェアは縮小しました。そこで出てきた戦略が海外マーケットだったのです。

一早く民営化に成功した日本のJT韓国のKT&Gは、アジアだけでなくヨーロッパや中東などにもマーケットを拡大させています。また、最近注目されているのが、中国国営タバコ会社です。主に国内需要の段階ですが、この会社はすでに、世界のタバコの約3分の1を生産しています。中国内外で工場建設ラッシュに入っています。

多国籍タバコ会社による健康被害

このような多国籍タバコ会社のバトルロイヤル状態で世界の人々の健康状態はどうなるのでしょうか。まず、激しい市場競争原理主義によってマーケットは拡大します。すでに年間6億人もの人間を殺しているタバコがさらに拡大生産されるのです。多くの人々が早く死ぬことになります。

タバコ会社の収益から得られる税金によって、各国政府は目先の利益を過大評価します。タバコ会社のロビー活動は巧妙です。アルパチーノ主演の映画「インサイダー」は、アメリカの某タバコ会社がタバコの害を隠していたことが会社の内部通告者によって暴露された事件を映画化したものでした。この事件で莫大な賠償金をタバコ会社は患者グループに支払いました。

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