建設技術者→軍事戦争→バグパイプ奏者と様々な職業を経験してきた、カトケンこと加藤健二郎さん。自身のメルマガ『異種会議:戦争からバグパイプ~ギャルまで』の中でカトケンさんは、最近よく話題に挙がる「共謀罪」法案についての裏話を披露。日本の諜報機関のひとつである「公安調査庁」の関係者は「共謀罪」法案の施行をとても恐れているようですが、その深刻な理由とは何なのでしょうか?
「共謀罪」を恐れる官僚組織
民主主義や自由などに高い問題意識を持っている人たちは、「共謀罪」法案に対して怒りを表して、デモに参加したり発言したりしている。共謀罪に対して問題意識を持っていないのは危機意識のないバカか権力の犬か、みたいな流れがあるのだが、カトケンにとっては共謀罪などどーでもいい。共謀なんかしないで1人でやればいいじゃん、な人生観だからか?
すると、日本の諜報機関の1つである公安調査庁の関係者さんから「ここの役所にとっては、共謀罪はマズいかも」と。諜報機関の仕事は、テロや犯罪やその他政治活動やらなんやら、なにかしでかそうとする者たちの活動を監視して泳がせ、全貌を掴もうとすることである。監視とはいっても、ただ外側から監視カメラや尾行張り込みで監視するだけでなく、その監視対象となっている組織内部に、情報源となる友好的な人脈を作り上げている。
そう、この反動的組織の中に友好的人脈を作っているおかげで、彼らの活動計画などを知ることができるのだ。ということは、その活動計画に関わった者を共謀罪ということで警察が逮捕に踏み切った場合、敵組織に浸透していた諜報機関員は逮捕されることになる。
「そんなの、公安同士の暗黙の了解で、関わった諜報員は逮捕しないってことできるのでは?」と考える人もいるであろう。そんな特例優遇をしてしまったら、敵組織に対して「あの逮捕されなかった●●氏は、公安の犬です」と公言しているようなもの。せっかく作り上げてきた敵組織内人脈が明かされてしまう。調査官さんが危惧しているのはもう1つある。「警察が、我々の役所、公安調査庁を潰そうと思えば、潰せる。そういうことに、共謀罪が使われるかもね」と。
公安系を追う反権力派ジャーナリストたちの中には、公安調査庁不要論を唱える人も多い。もし、警察が公安調査庁を潰したいのだとしたら、反権力派ジャーナリストと利害が一致する。で、官僚組織全体としては、公安調査庁の必要不要論はどうなっているのか。
法務省や検察の人事に詳しいヤメ検さんは言う。「公安調査庁は、調査活動費や、情報提供者への協力謝礼という形で、宛名等なしの曖昧な領収書による経費を膨大に使えるので、法務省や検察としては、潰したくないおいしいATMですよ」。法務省にとっておいしいドル箱だから、警察にとっては邪魔くさい、というのもあるかも。
一方、もし、公安調査庁などの諜報機関を潰したいという意図がないのだとしたら、共謀罪によって逮捕されるリスクのある動きをしている人たちは、積極的にそういった諜報機関の人間と接触してしまい、つまり、その反権力活動組織を逮捕したら、共謀罪の連座式で、公安調査庁の内部の人間でも共謀罪になるという形にしてしまえばいい。
反対派さんたちは、反対デモにご熱心だが、どんな法律でも、その法律のブーメラン効果をうまく利用すれば、実効性を骨抜きにできるというもの。最大のブーメラン効果は、共産党が与党になって、共謀罪を好き勝手に使いまくって思想弾圧することじゃんねぇ。でも、そっちの方で頑張る気は、共産党員でもなさそうだが。
ブーメラン効果のようなわかりやすいものでなくても、政権側が法律や組織や実行力で統制を強化すればするほど、地下組織も巧みになる、というもの。カトケンの東長崎機関としては、共謀罪に反対することではなく、共謀罪が実用化される日本で、どう巧く生きぬくか、の方だよね、って。「共謀罪下の日本をどう楽しくお得に生き抜くか」を共謀論議することは、共謀罪に触れるんだろうね。
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