「内定」中なのに、「研修へ来い!」の命令は断ってもいいのか?

saiyou20170707
 

何社も受けて、ようやく勝ち取った内定通知。ところが、後日「内定者向けの研修」の知らせが。まだその会社の社員になったわけでもないのに、参加しなければならないのでしょうか。逆に会社側は、内定者に研修参加を命じることはできるのでしょうか。こんな疑問に、無料メルマガ『採用から退社まで! 正しい労務管理で、運命の出会いを引き寄せろ』の著者で現役社労士の飯田弘和さんが、ズバリお答えします。

御社の就業規則には、教育訓練の定めがありますか?

御社では、必要に応じて、従業員に対して教育訓練を行っていると思います。入社時はもちろん、キャリアに応じて適切な時期に、教育訓練を行っているのではないでしょうか。

教育訓練を受けさせることは、業務命令の1つであるので、会社側に裁量権があります。教育訓練を行う時期や内容、方法などは、会社の判断で自由に行えます。

ただし、この教育訓練が問題となる場合があります。

まずは、問題となる1つ目。内定者に対する教育訓練研修)について。内定とは、「入社日から労働契約の効力が発生し始めるので、それまでの間に何か問題が発生した場合にはこの労働契約を解約しますヨ」という契約が成立した状態です。入社の予約ですネ(カッコつけて社労士っぽく言うと、「始期付き解約権留保付き労働契約が成立したもの」とか言うらしい…)。この「内定中に教育訓練を命じることができるのかが問題となります。

答えは、「NO! できません!

内定とは、まだ予約の段階であり正式な従業員ではないので、そのような人間に対して業務命令を行うことはできません。どうしても教育訓練を行うのであれば、内定者の任意の同意」に基づいて行うしかありません。

もし、内定者に対して教育訓練(研修)の受講を強制し、不参加を理由に内定の取り消しを行ったり、研修中の出来事(たとえば受講態度が悪かったとか、成績が低かったとか)を理由に内定取り消しを行えば、違法となります。

※「内定取消し」は、解雇と同様に扱われますので、解雇事由に該当するような「客観的で合理的な理由」と「社会的な相当性」が必要です。

print
いま読まれてます

  • 「内定」中なのに、「研修へ来い!」の命令は断ってもいいのか?
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け