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中国の経済力が米国を抜いた時、日本が改憲よりも急ぐべき「対策」

中国の軍事力増強はとどまる所を知りませんが、この中国の脅威に対して安倍首相は「憲法9条を改正して独自の防衛力を持つ」と主張しています。メルマガ『国際戦略コラム有料版』の著者・津田慶治さんは、憲法9条改正と防衛力の保有の必要性を認めつつ、それ以上に「経済力の再生が急務である」と主張。経済力を伴わない改憲は「日本の次の敗戦」を招くと警鐘を鳴らし、衰退への道を歩み続ける日本経済の「再生の一手」を提案しています。

日本の次の敗戦

中国は海軍増強を恐ろしい速度で続いている。このため、もう少し時間が経つと、圧倒的な兵力の差で米軍艦艇も南シナ海に入れなくなる。中国の経済力が米国を抜くのも間近である。そして、日本の敗戦もやってくることになる。

経済力=戦争力

残念ですが、6%の経済成長の中国の発展はすごく、世界の経済伸び率の半分を中国が占めている。日本の評論家は6%成長が低いというが、中国経済規模が大きくなり6%成長はすごいのである。

ちなみに、米国の経済成長率は1%~2%であり、日本は0%である。中国経済は、日本のGDPの3倍以上になっている。

あと数年で米国のGDPをも抜かすことになる。戦争を支える力は経済力であり、この経済力が米国より中国が上になると、米国も戦略を変えることになるとみていた。

そしたら、思った通りで、自国優先主義のトランプ政権になり内向きになって、世界戦略がない状態になったというより、統合的な戦略検討がされていないために、行き当たりばったりになっている。Gゼロの時代がやってきたようだ。

もう一度、日本も戦略を見直すことが必要になっている。中国包囲網を形成する戦略では、もう中国に対応できなくなっている。当面、インドも入れて日米印の連携を図るが、中国の経済力には敵わない状態になる。

中国は一帯一路で周辺国に投資を拡大している。この拡大に合わせて、軍事力も拡大させているのである。

中国の国民も中国の発展を歓迎して、世界への拡大を後押ししている。それを強力に進める習近平国家主席への権力集中に反対をできないようである。

ということは、中国が周辺国に大きな圧力をかけてくることが予想できる。その対象は台湾、日本、インド、ベトナム、フィリピンであるが、ベトナムは中国との友好を促進する方向であり、フィリピンも中国との関係を友好方向にシフトした。

台湾、日本、インドなどが受難の時代に入ったように感じる。中国は2流国で、日本は3流国と蔑み始めている。日本を軽く見る侮蔑的な感情は、侮られて戦争を誘発させる。

日本の衰退経済の立て直しが必要に

安倍首相は、9条に加憲する方向の憲法改正を行うようであるが、それより、中国からの攻撃を守るためには、経済力を中国から侮られないほどの強さにすることが必要になっている。

4年半の金融緩和、量的緩和だけによる経済立て直しは、できないことが明確化してきた。経済の崩壊を防ぐことはできても、経済発展は無理である。人口減少が続いているので、それも限界に来たようである。新しい産業や人口増加策が必要なのである。

水素ステーションの工事費は3億円も必要であるが、数年前にそれを1億円以下にすると豪語していたが、その規制緩和もできないでいる。同じものを米国では数千万円でできるようだ。世界的レベルにするだけでよいが、米国の基準は甘いと思うが、ドイツ並にはしてほしいと思う。

規制緩和が難しいというが、獣医学部新設は行うことになる。お友達の加計学園のようなことには官邸は力を入れるが、真に日本の競争力を上げる施策には力が入っていないようである。

このため、日本は世界から経済面で遅れ出している。株価が2万円以上にならないのも、新しい産業ができないことである。AIやIOTなどで世界の後追いだけではなく、日本独自の産業を早くものにすることが必要になっている。

憲法改正するなら、普通の国になるような憲法改正が必要であるが、それより急務なのが、経済の復活である。

尖閣諸島への攻撃

尖閣諸島には、毎日中国の公船が来ているし、数千隻の中国漁船がくることもある。そのような行動から侵攻するには、中国の権力闘争が激しくなる日本の防御力が下がるかである。中国は海軍や沿岸警備の拡充を行っているので、現時点でも中国の方が優位にある。

そして、習近平国家主席が在位10年で交代するが、その時になると、共青団と太子党の権力闘争が激しくなる可能性もある。その時、日本の国力が衰えていると、中国は船団を組み、尖閣諸島に襲い掛かることになる。

それを阻止するのは、日本の防衛力を維持発展して、米国の力がなくても日本独自で防衛できる力と、それを支える経済力が必要になるのだ。

経済力の再考

米国の力を信じて、日本は日米同盟を守ってきたが、米国の経済力が徐々に限界に達し始めている。国民の貧富の差が大きいと、その経済は、どこかで限界に突き当たる。その上に移民を排斥し、かつH1Bの技術者ビザの発給も制限することで、米国は最先端の科学技術の分野でも限界に来ることになる。

逆に、日本は世界から技術者やテロの危険の少ない単純労働の移民を入国させて、最先端科学技術の国にして、経済力を向上させる必要がある。

米国の代わりに日本があると宣伝することである。そのためには英語力を高めて、外国人が街中でも英語で不自由がない状態までする必要がある。

もう日本人だけで、経済力をUPさせるには人口減少が大きく、無理であるし、共稼ぎ家庭の男性の育児参加時間が少なすぎて、女性の就業を妨げているが、それはなかなか改善しないと思う。日本の文化的な背景があり、そのため、専業主婦がどうしても多くなる。

ということは、労働人口を増やすなら移民に頼る必要が出てくるはずである。

さあ、どうなりますか?

image by: Shutterstock

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【著者】 津田慶治 【月額】 初月無料!月額660円(税込) 【発行周期】 毎月 第1〜4月曜日 発行予定

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