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電車のチカンを未然に防ぐために、鉄道会社がまだやっていないこと

鉄道といえば、悪天候や事故による「遅延」が付きものですが、その遅延理由の中には「痴漢」が原因の場合も多々あります。メルマガ『武田邦彦メールマガジン「テレビが伝えない真実」』の著者で中部大学教授・武田邦彦先生は、自身のメルマガで「電車の遅延」と「痴漢」という2つの問題を解決・緩和するための新しく斬新な方法を提案しています。

交通機関の遅延は「乗客が遅延時間を判断する時代」へ変わる

先日、ある会社の役員さんが「新幹線はよく止まる。そしてゼッタイに何時に開通するか言わないね」と話しておられました。確かにちょっとした雨で新幹線は止まりますし、雪なら15分ぐらいの遅れが普通だけれど、雨になると2時間、3時間と時間がかかります。

著者は名古屋から大阪に行く機会も多く、もし新幹線が早く復旧すれば新幹線を待つし、長ければ近鉄に切り替えます。でも状況を伝えてくれなければどうにもなりません

ところが1ヶ月ほど前、豪雨で静岡県を中心として新幹線が止まったときの名古屋駅の放送は画期的でした。「現在、雨で**と**の区間が不通になっています」といういつもの放送に加えて、「停止している二つの列車は名古屋の近くにいて先に到着する予定です」、「到着予定時間はおよそ13時45分頃です(女性の声で別系統のように感じた)」、「静岡県の降雨の状態は***です」「まもなく動きますが、近くにいる2列車以後は遅くなる予定です」…などといつも不親切で有名なJR東海とは思えない放送が続きました。

逐一、放送されることを聞いていて、著者は「これは1時間30分遅れぐらいだ」と判断し、大阪の会社に電話をしてその旨を説明し、現実に1時間30分遅れで目的地に到着しました。会社は予約していた大きな講演会場をキャンセルせずに済み、お聞きになる方も満足して帰られました。

普段、JRが復旧の見込みを乗客に伝えないのは、1時間30分と言ったのに現実には2時間かかったというような場合、文句を言われるからだと思いますが、逆に時間が分かることによって乗客側は大きな損害を防ぐこともできます。

つまり、JRは「遅れる時間」という「結果」を言わなければならないという強迫観念を持っていますが、「乗客も判断力があるのだから、刻々と判明した事実を淡々と駅で放送する」という時代が来ると思います。事実は予想ではありませんから、何も問題にならないからです。静岡県にどのぐらいの雨が降っているという情報、JR東海はどのぐらいの雨なら走り出すという規則であるか、雨なのか川の増水なのか、列車はどこにいるのか、など、ドンドン情報を流すことはできると思います。

でも、もしかするとあの日の名古屋駅の放送は明らかに二つあって、駅で待っている乗客向けの言葉使いの放送は事実の伝達ではなく、女性の声の業務放送のようなものが事実を刻々と伝えていましたので、もしかするとJR職員だけが聞ける情報も間違って流れたのかも知れません。

電車での痴漢を未然に防ぐためには情報の公開がキーとなる

でも、奇妙です。よく「お客さん本位」と言いますが、JRもそろそろお客さん本位になって「JRの職員が知っていることは原則としてお客さんにも流す」というお客さん本位に変わってもらいたいものです。

このことは台風や大雨と言った自然災害や、沿線火災などだけではなく、車内の痴漢も同じことです。先日、警察の幹部にお話を聞く機会があったのですが、現在では鉄道各社は路線ごとの痴漢の情報を詳しく知っていて、どの車両でどの時間帯にどのような男が痴漢の常習犯であるということまで分かっています。男性ばかりではなく、最近は痴漢にあったといって男性からお金を取ろうとする常習の「被害を装う女性やグループ」もいて、それもかなり把握されているとのことでした。

そこで、あらかじめ被害者になると思われる女性や、被害を装う女性については刑事が近くに張り込むことも多いという極めて具体的な事例も説明していただきました。

それが事実なら、というか事実なのですが、車内で放送したら良いのではないかと思います。たとえば、痴漢の被害がでると予想される列車の場合、車掌が「この時間は何号車に痴漢が多く出ます」とか、「被害を装うグループがいることが多く、その人たちの特徴は****」と放送してみたら良いのではないでしょうか?

なにしろ放送が「痴漢情報」ですから、車内も和やかになると思いますし、現実に痴漢をしようとしていた男性も痴漢の警報が放送されたら、実行しにくいでしょう。また「痴漢を装う女性やグループ」の場合、ほとんどが常習であるとのことです。つまりこちらはお金が目的ですから、1回だけやっても意味が無く、必ず常習になるようです。それなら人権に問題がない範囲で、車内で「この路線では男女3人で、年齢が何歳ぐらいのグループが痴漢を装う事件が多い」と過去の情報を流すだけでかなりの予防になります。(つづく)

image by: 東京都交通局

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中部大学教授の武田邦彦です。主に環境問題や資源に関して研究を行っております。 私のメルマガでは、テレビや雑誌新聞、ブログでは語ることが出来なかった原発やエネルギー問題に鋭く切り込みます。

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