次こそは、次こそはと思いながら、成功事例がたくさん載ったビジネス本を買い漁っているようでは、この先ろくなことにならないようです。今回の無料メルマガ『ビジネス真実践』では著者で戦略コンサルタントの中久保浩平さんが、「成功事例から学べることは意外と少ない」と前置きした上で、あまり注目されない失敗事例から何を学ぶべきかについて持論を展開しています。
失敗から学ぶ理由
売り上げが伸び悩んでいるという会社やお店の経営者からのご相談を受けると、決まって「弊社と同じ業界での成功事例を教えてください」というような経営者が一人や二人必ずいます。「なぜ知りたいんですか?」って尋ねると、「ヒントになるからです」と応えてくれます。
他社の成功事例を知ることで、「どうすれば上手く行くのか?」「なぜあの会社は成功しているのか?」、そのヒント、秘訣をうかがい知ることができるので、上手くいっていない会社にとってはまさに教科書、教材に思えるようです。
失敗事例満載の私の書籍とは違い、成功事例満載のビジネス本が売れるのもうなずけます。参考までに私の本です。
●『ビジネス真実践』国際語学社
ですが、成功事例が正しい教科書、教材であってもそこには既に出来あがった答えがあるため、それ以上の思考や発想力を養うことはできません。よって、他社以上の成功を収めることができません。「こうやればいいんだな」と、そこでゴールを決め込んでしまい、それ以上のことを考えることが無くなってしまうからです。
ですので、成功事例は、1つのヒントにこそなれ思考力や発想力を養う教材にはならないし、事例以上の成功を収めることはできません。視野が拡がるようで拡がらないということです。
しかし、成功事例とは逆に失敗事例に目を向けてみると、「どうすれば売れるようになるんだろうか?」「どうすれば改善し成功へと導けるだろうか?」と、自己に置き換えてみることで自ら成功へ導く思考や発想に変わります。「こうすればいい」という答えがそこには無いからです。
こうした答え無き答えを求めようという働きにこそ、思考力や発想力を養うことができます。いってみれば、成功事例からは1つのヒントやきっかけを得、失敗事例からは、得たヒントを力に変えることができる思考力や発想力を養えるということです。
極々当たり前ですが、どのような成功事例も数えきれなほどの失敗の上に成り立っています。売れない商品を何度も改良しヒットする商品が1つ生まれたとか、人気メニューが誕生するまでに100品のメニューを開発してきたとか…。
ですから、学びから得ようとするとき、単に成功事例を見聞きするだけでなく、その陰にある失敗事例へ目を向け、全体のバランスを見るようにすることが学ぶ上ではとても大切なことです。
他社あるいは、自社の成功事例だけでなく、失敗事例にも目を向けてみてください。今まで見えていなかったことや新たな発見、問題を解決するヒントがたくさんあることに気がつくでしょう。
そして何より…、そのことによって成功するための地力が養われていきます。
■今日のまとめ
『地力をつけるためには失敗から学ぶ』
- 問題や課題を解決するための力を身につけるには普段からどいうことを学び訓練すると良いか? 考えてノートに書き出す。
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