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【書評】遠藤周作も開高健も来た。どうも死後の世界はあるらしい

人は死んだらどうなるのか。そんな、人類にとって普遍的な疑問についてひとつの回答を示した書籍を紹介しているのが、無料メルマガ『クリエイターへ【日刊デジタルクリエイターズ】』編集長の柴田忠男さん。直木賞作家・佐藤愛子さんが齢80にして掴み取った、その「答え」とは?

冥途のお客
佐藤愛子・著 文藝春秋

旧盆に、あらためて佐藤愛子『冥途のお客』を読んだ。なぜか手元に、2004年の単行本(光文社)と2007年の文春文庫とがある。時々こういうことがある。愛子さんが30年にわたって苦しみつつ学んだことを、80歳になってようやく整理、理解できたのだという。それは、肉体は滅びても魂は永遠に存在するということだ。

普通の人の殆どが「死ねばなにもかも無に帰す」と考えている。死後など語ると、人の不信や嘲笑を買うのが普通だろう。ところがわたしは若い頃の一時期、その方面の研究に没頭し、類書を読み漁り、もしかしたら危ない領域に触れかけたかもしれない。幸い何かをきっかけにリアル世界に完全に戻ってこられた。

いまはたぶん健全な精神である。さらに年齢とともに、読書においての理解力が増したような気がしているが、たぶん気のせいだろう。神から霊能力を与えられた、霊能者という人が現実にいる。彼らは我々の「見えない世界」を見ている。しかしすべてが見えるわけでなく、ほんの一部分だけが見えている、らしい。

霊能者によって見える景色は違うらしい。見える範囲が違うらしい。見えた光景、受信した情報をどう理解し解釈するかは、その霊能力者の力量、教養、人格に関わってくる。愛子さんは自らに降りかかった怪現象の正体を探るため、多くの霊能者に学び、人間の死後についての考え方に自信を抱くようになった。

死んだらすべて無になる、何もかも終わる、と誰もが思っている。愛子さんは死後の世界があると断言する。

学んだ先達のどの人からも、私は四次元には暗黒界(地獄)があると教えられている。幽界、霊界にも階層があるように、暗黒界にも階層がある。

そのシステムも解説されており、信じても信じなくてもかまわないが、「自殺者は間違いなく地獄に行く」という一言は重大だ。

霊能者の江原啓之と電話で話していたら、彼が急に「遠藤周作先生が今、佐藤さんの部屋に来ておられます」と告げ、その様子を詳細にレポートし始めた。彼は遠藤の発言を伝える。リアル遠藤をまったく知らぬ江原の描写する霊の遠藤は、まさしく愛子さんの知る遠藤周作であった。また、芝木好子有吉佐和子開高健も一緒に、楽しそうにしている様子も実況放送されて興味深かった。

彼らがいる階層は幽界の最上位で「天国」といわれているところで、その上に霊界がある、らしい。愛子さんはこう理解した。死後の世界は確かにある。死んでもなお、魂がしなければならぬ使命がある。向こうからはこちらのことがすべて見えているらしい。愛子さんは死を怖れ悲しむ気持ちがなくなったという。

生きている間に卑しい情念や欲望を克服し、何も思い遺すことがないように十分に生き抜くことだ。それは過去30年間の心霊体験の結果、私が得た最も大切なことである。

と愛子さん。人生は修行である。それが死後の安楽につながる。信じようと信じまいと。わたしはまだ生臭い。修行が足らない。

編集長 柴田忠男

image by: Shutterstock.com

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