まるで戦前の騒ぎ。北朝鮮のミサイル発射を新聞各紙はどう伝えたか

 

ミサイル防衛は不可能…

【毎日】は1面トップに2面、3面、5面に社説と記事、6面、9面、13面に緊急座談会、30面31面社会面にも。見出しから。

1面

  • 飛行距離2,700キロ
  • 北朝鮮ミサイル 日本通過
  • 襟裳岬沖落下 「火星12」か
  • 破壊措置 実施せず
  • 複数弾頭の可能性
  • 冷戦の残滓 清算を(外信部長 小倉孝保)

2面

  • ミサイル防衛 限界も
  • 日本全域配備は困難
  • 列島越え 5度目
  • 北朝鮮飛距離抑制か

3面

  • 北朝鮮 方向変え威嚇
  • 「グアムも照準」誇示
  • 米、問われる戦略

5面

  • 北朝鮮ミサイル:首相、日米一致を強調
  • 「対話の時ではない」
  • 列島超えた北朝鮮ミサイル 日本主導で5カ国協議を(社説)

6面

  • 東証4か月ぶりの安値
  • 北朝鮮ミサイル リスク回避強まる

9面

  • 韓国 対応に苦慮
  • 文大統領「強く糾弾」
  • 対話の実現性低く
  • 各国から非難相次ぐ
  • 中国 圧力強化に異議
  • ロシア「制裁の手尽きた」

30面 31面

  • いかに備えれば
  • 国、屋内退避を奨励
  • 「地下ない」「カラの浴槽入れ」 困惑ツイート飛び交う
  • どこに逃げれば
  • 戸惑う市民、自治体
  • Jアラート 各地で混乱
  • 休校、始業繰り下げも

uttiiの眼

1面トップの見出し「飛行距離2,700キロ」の意味を最初つかみかねていたが、記事を読むと、前回ロフテッド軌道で日本海に落下したミサイルが、より低い高度を飛び、日本を越えて2,700キロも飛行したということを図解入りで示している。推定される最大航続距離までは飛ばなかったが、グアムまで届くことを別の場所で実証して見せたということのようだ。

リードには「ミサイルが分離したとの情報があり、複数弾頭を搭載できるミサイル開発を進めている疑いが浮上した」としている。このトップ記事の中、中見出しで「破壊措置 実施せず複数弾頭の可能性」が視覚的に目立っている。自然と、「ミサイル防衛は無理なのではないか?という疑念が湧いてくる。その疑念を膨らませたのが、2面の記事。

2面記事のリードは「北朝鮮が、兆候のつかみにくい発射や複数弾頭搭載のミサイル開発などを進めれば、ミサイル防衛による迎撃はより困難になる」とある。

まあ、もともと、「有事でなければ上空を通過するミサイルを打ち落とすことは想定されていないし、しかも今回、グアムを狙ったミサイルが間違って落下してきたときに備え、「『パトリオット』を中四国4県に展開」。ところが、実際に発射されたミサイルは北海道上空を通過した。装備の数は限られているから、「日本全域を完全に防護するシステムの整備は極めて困難なのが実情で、限界を露呈した形となった」とする。

移動式の発射台でどこからでも撃てる、空港からならさらに準備時間を短縮できる、複数ミサイルの同時発射技術も持ち、弾頭の複数化も…となれば、これを防ぐことはもう無理ということかもしれない

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