まるで戦前の騒ぎ。北朝鮮のミサイル発射を新聞各紙はどう伝えたか

 

メディアの大騒ぎ

【東京】は1面トップに2面、3面、5面社説、7面に内外ドキュメント、9面、26面と29面。見出しから。

1面

  • 北朝鮮ミサイル 日本通過
  • グアム狙える新型か

2面

  • 日 防衛 外交 有効策なし
  • 政府「万全の態勢」強調するが

3面

  • 北 米の限界線探る
  • グアム避け ミサイル日本通過
  • 同調の日本へも警告
  • 米 「世界を侮辱」圧力強化へ
  • 大統領「一層孤立するだけ」

5面

  • 日本を実験場にするな(社説)

9面

  • 韓 「深い失望」あらわ
  • 迎撃システムなど 軍事強化急ぐ
  • ロ 新たな制裁 否定的
  • 中 米朝双方にいらだち

26面

  • 北ミサイル関連 過熱報道
  • メディア 冷静に情報分析を
  • 日本上空だが…「わが国に」「脅威」あおる首相

29面

  • 警報「どこへ逃げれば」
  • Jアラート数分後に上空通過
  • 12道県に情報、一部トラブル
  • 識者「政府、避難の説明不足」
  • 「もし狙われたら」 横田基地周辺

uttiiの眼

安倍政権は「万全の態勢」を強調するが、外交的にも防衛的にも実際のところは打つ手なしの状態。しかも、避難態勢もうまく作動しないことが今回のケースで明るみに出てしまった。《東京》はそのあたりのことを2面の記事と社会面で展開している。

26面には、この問題を巡るメディアの対応についてのユニークな記事(こちら特報部の「ニュースの追跡」)。ミサイル発射から数分後にJアラートが突然鳴り、各社は速報を打つ。テレビ各局はありものの北朝鮮関連映像、特にミサイル関係のものを繰り返し流し、画面はミサイル情報で溢れた。「メディアは冷静に情報分析して、過剰な反応を押さえるべきだが、危機をあおる政府に便乗している」(神保哲生ビデオニュース・ドットコム代表)との批判。

メディアの影響は、例えば「2001年の米中枢同時テロ後、米国はアフガニスタン、イラクでの戦争に突入したが、メディアが『テロとの戦い』一辺倒で政権批判を忘れたことがその後の泥沼を招いた一因といわれている」と。

29面には、横田基地周辺に住む人たちの、「もし基地が狙われたらと思うと怖い」という声を拾っている。

あとがき

以上、いかがでしたでしょうか。

《朝日》と《毎日》が描き出している危機感は、全く別種のものですが、いずれも大きな一つのテーマにつながっています。仮に、《朝日》が言うようなアメリカの政策変更があった場合日本には何が課題として突きつけられるのでしょうか。考えておくべきことかもしれません。

 

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ニュースステーションを皮切りにテレビの世界に入って34年。サンデープロジェクト(テレビ朝日)で数々の取材とリポートに携わり、スーパーニュース・アンカー(関西テレビ)や吉田照美ソコダイジナトコ(文化放送)でコメンテーター、J-WAVEのジャム・ザ・ワールドではナビゲーターを務めた。ネット上のメディア、『デモクラTV』の創立メンバーで、自身が司会を務める「デモくらジオ」(金曜夜8時から10時。「ヴィンテージ・ジャズをアナログ・プレーヤーで聴きながら、リラックスして一週間を振り返る名物プログラム」)は番組開始以来、放送300回を超えた。

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【著者】 内田誠 【月額】 月額330円(税込) 【発行周期】 週1回程度

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