ネット上で「頂き女子りりちゃん」を名乗り、男性3人から計1億5500万円を騙し取った渡辺真衣被告(25)に、懲役9年の実刑判決が下された。渡辺被告が新宿歌舞伎町のホストクラブにハマり、ホストに貢ぐ金ほしさから風俗で働きはじめたのは20歳の頃。それでも金が足りず、やがて自身も“騙す側”にまわり男性たちから大金を巻き上げるようになったという。「りりちゃん」に限らず、悪質ホストクラブへのツケ払い(売り掛け払い)などで多額の負債を抱える女性客が近年急増しているが、この流れは今後も止まりそうにない。警察による摘発強化や、業界の「ツケ廃止」をくぐり抜け、女性を「風俗落ち」させる新手口が現れているのだ。ジャーナリスト・山岡俊介氏が主宰する『アクセスジャーナル・メルマガ版』が詳しく解説する。
※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:「ツケ廃止でも売春はなくならない!」──ホストによる女性客への売春指示の深淵
ホスト狂い女性の「風俗落ち」はさらに増加、ツケ廃止に抜け道
昨年末ごろから、警察がホストクラブの摘発に力を入れ出しているのは大手マスコミ既報の通り。
東京・新宿歌舞伎町は、ホストクラブのメッカだが、その客が料金を払えず、売春を強要して払わせるケースが多発しているからだ。
ホストクラブのメーン客はオバサンというのは大昔の話。
現在、客の大半は20代の前半。大学生、高校生などの未成年者も少なくない。
そんな若者、未成年者が高額のホスト代を払えるはずがなく、それにも拘わらず、なぜ客になるのか?ここに、現在のホストクラブの根本的な問題がある。
「地方から、今年も4月から大学進学したり、就職で上京して来る。そうした若い女性を、スカウトマンがJR新宿駅東口などで物色し、ナンパするかのように声をかける。またSNSで恋人募集をする。
彼らは皆、見た目はハンサム。それで即、恋愛感情を抱く女の子は多い。で、ホストクラブを紹介され、キャバクラなどならまだマシで、性風俗店、立ちんぼをさせられることが多い。
深刻なのは単なる恋愛感情だけでなく、コロナ禍でホストクラブが急増したように、人間関係が上手く築けず、孤立し、ホストとは疑似恋愛だとわかっていながら、それでも売春してまで貢ぐことが唯一の生きがいになっている女の子が多いことです」(事情通)
だが、こうしたなか、行政もようやく重い腰を上げ、昨年12月、主なホストクラブの経営者と新宿区とが連絡会を持ち、売掛金(ツケ)払いを段階的に減らし、今年4月までになくすことを表明していた。
ツケをなくせば、その時の手持ち現金分以上の料金は取れない=借金は膨らまない=売春しなくて済むというわけだ。
だが、そう表明しながら、表明したホストクラブのホストが、3月29日にも、警視庁保安課に職業安定法違反(有害業務の紹介)容疑で逮捕されている。そのホスト(20)は、20代の女性客に対し、ツケの穴埋めに東北地方の性風俗店を紹介していたという。
しかも、これはいくらホスト経営者がツケをなくすと表明しても、末端のホストにまでは徹底されないという問題ではないと、前出の事情通氏はいう。
ホストクラブに替わって「女性客にカネを貸す」システム
なぜ、ホストクラブのツケ制度をなくしても売春はなくならないというのか?
実はホストクラブに替わって、すでにスカウトが女性客にカネを貸すシステムが出来上がっているのだという。
「むろん、裏の話です。ですが、そういう協定が多くのホストクラブのグループと、スカウトマンの組織側との間で結ばれている。
なぜって、今やホストクラブ=男性がクラブやキャバクラで遊ぶ女性版ではなく、組織化し、若い女性にホストクラブ料金名目に売春させるその実態は実質、違法な売春組織=マフィア化しているからです。
だから、ホストクラブで女性に楽しんでもらうのではなく、若い女性からカネをむしり取るのが目的なので、ツケを背負わせないと儲からない」(同)
では、スカウトに、女性客のツケを立て替える資金力があるのかというと、それは十分過ぎるほどあるという。
警視庁組織犯罪対策部などは昨年11月、通称「ナチュラル」という国内最大規模のスカウトグループの幹部を暴行容疑で逮捕した。
言っておくが、ここでいうスカウトとは、クラブやキャバクラなどへのスカウトではない。まして、男性客を店に誘うスカウトでもなく、こちらは「キャッチ」と呼ぶ。
ここでいうスカウトとは、本番アリの違法性風俗店専門のグループ。
そして、いくら国内最大とはいえ、その所属人数は約2000名とも見られる。歌舞伎町だけでなく、日本全国を網羅している。
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