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なぜ西洋思想は、世界を幸福にできなかったのか?

前回掲載の記事「20世紀を繁栄させた「石油時代」が終わり、第二の原始時代が始まる」で、聞きなれない「地産地消経済」についてわかりやすく解説したメルマガ『国際戦略コラム有料版』。今回は著者の津田慶治さんが「まもなくキリスト教的思想の西欧文明は終わりを告げ、仏教思想に基づいた植生文明が始まる」とし、その根拠を記しています。

地産地消経済の思想とは

地産地消経済は植生文明であり、侵略や支配を正当化する今までの西欧文明の思想とは違うことになるはずで、それを検討しよう。

西洋思想の問題点とは

西洋文明は、キリスト教の影響を強く受けているので、どうしても正義と悪との二分的に区別して、例えば北朝鮮の核ミサイル開発は悪と規定して、それを止めることや対応処置は正義とすることになる。

仏教では、相手の立場を自分に置き換えて考えるということが重要と教えている。自分だけの利益を重視すると、それには報いがあると教える。

欧米は、相手の立場を見て、その中で考えるという仏教的な立場を取らないし、ルールを自分たちに都合の良いように変更して、それを正義としてしまう。

日本がスキージャンプで優勝すると、スキージャンプのルールを変更して、日本人が優勝できないようにしている。西洋諸国は18世紀から20世紀にかけて多くの非白人を殺したが、自分たちの殺戮は正当化して、非白人を解放しようとした日本の行為だけを問題化している。それを世界的に広めたことで、日本は今でも悪者という印象である。このように西洋は自分のことだけを正当化してきた。

一神教は自分の神のみ正義であり、それ以外は悪魔として、その悪魔は殺してよいということになる。その戦いの現場がイラクやシリアであり、中東地域であることで平和が来ない理由でもある。キリスト教もイスラム教も一神教のために大変なことになっている。

このようなことを3世紀にも渡りおこなったことで、仏教の縁起の理論により因果応報の定めが作用して、欧米の文明は衰退すると、思っていた。

そして、とうとう英国から米国に覇権が第2次大戦後移動して75年が過ぎて米国の覇権も揺らぎ始めている。トランプ大統領もバノン氏もそれを止めるために登場したが、止めることは至難の業である。

中国は、米国以上の速さで軍事力を強化して、米海軍の東南アジアでの活動を制限し始めた。米海軍の艦船は、4つの大きな事故を起こして、東南アジアの任務遂行が難しくなっている。

しかし、中国が覇権を取るかというと、中国の思想は昔のままの独裁政治と中華思想であり、地産地消経済という新しい経済社会に適合できないようである。世界が中国の思想を受け入れることもないと思う。

ということで、新時代の思想を日本が中心となって作りそれを世界に波及させることが必要になっている。

地産地消経済は自立的

地産地消は、略奪経済ではなくなる。他者から資源や食料を略奪する必要がない。このため、資本主義の原料を安く仕入れて、工業製品を高く売り、そのような仕組みで発展途上国から富を奪うことをする必要がない。富裕層がそれ以外の人を搾取して、お金持ちになる必要もない

日本人はお金持ちになることを重要視していないことで、富裕層が尊敬の対象でもない。

やっと、今までの資本主義のような理論を作り、正当化して略奪していた経済体制でなくなることで、自律的な経済が世界で同時並列的に行うことができるようになる。

もちろん、努力や創意工夫などは価値を生むことになるが、工業製品の方が農産品より付加価値が高いということはなくなる。

重要なのは、汎用品や基礎農産物、エネルギーなどの生活必需品は安くてどこでも作り、嗜好品だけが世界的な貿易品となることだ。このため、どれだけユニークな製品ができるかが付加価値を上げることになる。

どこでも、自然エネルギーがあることで、エネルギーを他国から持ってくることがなくなり、このエネルギーを使って農産物も自国で作れることになる。

もちろん、日本も多数の人間がいるので、エネルギーが不足する可能性が高いが、自然エネルギーは偏在していない。どこでもあることで価格的には安いことになる。近くの砂漠地域から輸送してくるだけである。交換市場が立つかもしれないが、非常に安価になる。

エネルギーがあると、気候が寒い地域でも植物工場を立てて植物を栽培すればよいだけである。魚も養殖になるだろうし、肉は植物代替肉になり、カロリーなどの調整もしやすくなる。嗜好品としての肉はあるかもしれないが、嗜好品としてである。

日本の輸入に占めるエネルギー、食糧、材料資源の金額が大きいが、これがなくなると、輸出をすることも必要なくなる。もう1つが、労働力不足もAIやロボットがあるので代替できることになる。

このような環境では略奪ではなく助け合い社会になるしかない。皆がお互いを思いやる社会を構築することに、人間としての意義を見出すことが必要になる。

労働ではなく意志を働かせて皆が幸福な社会を築くことである。

幸福とは何か?

個人個人の幸福を高める方法が重要になる。ドーパミンが多く出るのはどのような時かというような脳科学の時代であり、その基礎である仏教思想の時代が来ることになる。

日本仏教では、インド仏教の思想面を重要視しないで、もっぱら実践的な瞑想の方法に重きを置いてきたが、もう一度、仏教思想の面を確かめる必要があるようだ。

基本は、人間は個人の自由度を高め、自由な発想できる環境を社会にビルドアップしてきたし、目指してきたのである。学校のいじめで抑制された子供を解放しようとしているし、母子家庭の子供の自由度を大きくするために、制度を作ろうとしている。

その根本は、皆が他者を気遣い、そして助け合うことで、人間を高めることができると感じているからである。これは、縁起の思想である。因果応報なども縁起から出た考え方であるが、その思想は仏教思想である。

このように仏教思想がもう1度、見直される時代が来るとみる。

人間が尊厳を持ち他者の尊厳を気遣い、それにより他者からの尊敬を集める人が成功者となるような社会になると思う。

さあ、どうなりますか?

image by: Shutterstock.com

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