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実は職場の室温やトイレの数まで国の規則で決められていた!

オフィスの温度や湿度、トイレの数に明るさなどなど、「職場環境」に国が定める法令があることを知る方は少ないのではないでしょうか。今回の無料メルマガ『新米社労士ドタバタ日記 奮闘編』では、「衛生基準規則」等を取り上げながら、職場環境を整えることの重要性を現役社労士が提示。さらに「産業保健相互支援センター」の活用法についても紹介しています。

職場の温度・湿度・照度

暑い夏もそろそろ終わりかな。今年は、従業員の方が熱中症になったという相談は来なくて良かったですが、職場では、環境に対していろんな対策が求められています。

新米 「事務所の室温や湿度って、夏は28度、冬は18度とかいいますが、何かで決められているんですか?」

深田GL「社労士試験の範囲ではそこまで勉強しないけど、職場の環境には、衛生基準規則っていう法令があって、基準が決められているんだよ」

新米 「へぇ~、やっぱりそういう基準があるんですね」

深田GL「室温は、17度以上28度以下湿度は40%以上70%以下になるよう努めなければならないってね。ただし、サーバールームは別扱いでOK!」

新米 「サーバールームは、温度低いし、特別扱いなんですね」

深田GL「職場の室温は、『外気温より著しく低くしてはならない』っていう体調を考えたルールがあってね…」

新米 「へぇ~、外気温より極端に低くしたらダメっていうことまで決まっているんですね」

E子 「職場ってね、トイレの個数にも基準があるのよ」

新米 「トイレの数?」

大塚 「そっ、衛生基準規則で決まってるの」

新米 「へぇ~、そんなことまで決まってるんですかぁ?」

E子 「そうなのよ、まずは男性用と女性用を区別することでしょ」

新米 「え? ひとつしかない職場もありますよ」

大塚 「確かにね。うちも前はそうでしたよ」

E子 男性用大便所の数は、同時に就業する男性労働者60人に1個以上とする」

新米 「60人?そんな数字、決まってるんですか?」

E子 男性用小便所の数は、30人毎に1個以上なのよ」

新米 「俺では、それでは足りないなぁ…お腹壊したときなんか、めっちゃ不安ですぅ。ところで、女性はどうなんですか?」

E子 「女性用便所の数は、20人毎に1個以上って決まってるの」

新米 「ふーん、じゃぁ、部屋の明るさはどうなんですか?」

E子 「照度ね。これも作業区分によって決められているのよ」

大塚 「精密な作業は、300ルクス以上、普通の作業は150ルクス以上、租な作業は、70ルクス以上ってね」

E子 「『VDT作業のためのガイドライン』では、

などが推奨されているの」

深田GL「それと『グレアの防止』のディスプレイについては、『反射防止型ディスプレイを用いること』、『間接照明等のグレア防止用照明器具を用いること』等が定められているんだ」

新米 「グレアって何ですか?」

大塚 「グレアっていうのは、簡単にいうと、『まぶしさ』のことね。ディスプレイ画面に照明の光が映り込んで、画面の文字が読みにくくなることもあるでしょ」

E子 「室内は、できるだけ明暗の対照が著しくなく、かつ、まぶしさを生じさせないようにすること。ディスプレイ画面の明るさ、書類及びキーボード面における明るさと周辺の明るさの差はなるべく小さくすることなんていうことに注意することになってるわ」

深田GL「最近、節電や省エネ対策から、LEDランプが採用されるようになったけど、LEDの光に含まれる青色の光が目に悪いなんていわれたりしているね」

E子 「でも、古い形の蛍光灯の光は『ちらつき』が出るでしょ。それに比べると、LEDランプに流れる電流は常に一定だから明るさにちらつきがなく動くものが見え易くなるそうよ」

大塚 「一長一短ですね。LEDは、光に紫外線が含まれてないから、目に優しい光だとも言われていますね」

E子 「それにLEDは、寿命が長いから、ランプの交換回数が減るでしょ。っていうことは、高所のランプを交換する回数が減れば、脚立等からの転落の危険性が減るっていうことにつながるんよね。そういう意味では、長寿命のランプは安全上大きなメリットがあるわ」

深田GL「しかし、最近は明るさだけでなく『快適性』を求めることも増えたらしいよ。PC作業が増え、眼精疲労を訴える人が増えたり、オフィスでの滞在時間が長くなったりしてるからね」

新米 「快適性ですか。確かにそれはほしいです」

深田GL「そこで、最近は、オフィスの照明を750ルクス以下に設定し、手元の照明で調節できるようにするオフィスも増えているそうだよ」

E子 「ちなみに、外国のオフィスの照度基準は500ルクス以下が多いそうね」

大塚 「手元で調節することが多くなってるのね。日本の照明基準も、どんどん見直されていきそうですね」

深田GL「オフィスの『照度』は、照度計という小さな機械で簡単に測定することができるんだよ」

E子 「それって、滅多に使わないものだしわざわざ買わなくっても産業保健相互支援センターで貸してくれるのよ」

新米 「え? あの産業医さんを派遣してくれるところですか?」

E子 「そうよ。50人未満規模の事業所はメンタル不調者の面接指導の訪問なども無料で対応してくれる仕組みもあるんだから是非利用してほしいわね」

新米 「そこで、照度計を貸してくれるんですか?」

大塚 「そうなのよ。照度計だけでなくて、騒音計など職場環境に関係する機器を貸してくれるのよ」

新米 「へぇ~、いろいろあるんですね」

E子 「お客さまにお勧めしたいことがいっぱいあるから、その存在とサービスはしっかり知っておいてね」

新米 「はいっ、わかりました!」

産業保健総合支援センター

image by: Shutterstock.com

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【著者】 イケダ労務管理事務所 【発行周期】 週刊

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