なぜ中国政府が渡航制限しても、日本に来る中国人は増え続けるか

 

中国政府は、日本への渡航も人数制限をかけていたようですが、記事によれば、制限したのは団体旅行のみで、個人旅行に関しては制限できなかったとのこと。さらに、近年は団体よりも個人旅行を好んでする人が増えていることから、結果的に訪日観光客は前年比で28%増の637万人に上ったということです。

中国7億人、全世界へ旅行、国慶節連休始まる 日本も大人気

日本側も、国慶節の中国人観光客を見込んで様々なサービスを用意していました。中国語でのアナウンスや表示はもちろん、中国の電子決済サービス「聯銀」カード使用可能にしたり、デパートなどで各種優待チケットを配布したりと、観光客誘致に懸命です。

中国政府は、反日教育を熱心に推進し、日本は極悪非道のワルである「日本鬼子」とのイメージを植え付けることに一生懸命ですが、日本を一度でも訪れたことのある中国人は、それまでの日本のイメージは虚構だったことに気が付きます。そして、中国政府が渡航制限をかけても、好んで旅行先に日本を選ぶのです。なぜなら、日本が好きになる中国人がどんどん増えているからです。

中国政府も、この社会の変化に対して、いつまでも反日教育を人民に押し付け、人民をコントロールすることはできないでしょう。例えば、日本行きを渋っていた母親を連れて訪日した娘が、結果的に日本から多くを学び、母親も自分の娘もマナーや公共心について考えるいい機会だったと、ネットで感想を述べていました。こうした例は、ネットでいつでも散見できます。

日本行きを拒否した両親がたった6日間で日本大好きに!―中国ネット

米華字ニュースサイトの多維新聞は、国慶節に50万人以上の中国人が日本を訪れることで日本経済のカンフル剤となり、衆院選での自民党・安倍政権の追い風になると分析しています。

中国の国慶節が日本の衆院選を左右する―米華字メディア

中国人観光客で日本各地が賑わっている一方で、香港では2014年の大規模デモ「雨傘運動」の学生リーダー3人が8月に実刑判決を受けて収監されたことなどを挙げ、香港の民主が危機にさらされていると訴えるデモがありました。しかし、雨傘運動が制圧されて以降の香港では、中国による統治に対する諦めと失望が広がり、かつての自由を求める熱気はだんだんと冷めてきています。

これ以上あがいても何も変えることができない、デモに参加しても何も変わらないという諦めに近いものが、香港の人たちを覆い始めています。今では香港は、大学構内に「香港独立」を掲げる横断幕をかけただけで、行政長官から厳しく批判されるような状況になっています。中国返還以降香港の衰退ぶりは実に嘆かわしいものです。

香港雨傘運動から3年 広がる失望、冷める熱気

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