アジア最貧国に自社工場。日本版マザーテレサが挑む貢献ビジネス

 

TX170914_2200_PR011

現地正社員200人~バングラデシュに自社工場を設立するまで

バングラデシュで目の当たりにしたのは、援助が貧しい者に届いていない現実だった。すると2週間の滞在の最後に、山口は極端な行動に出る。バングラデシュの大学院を突然訪ねると、なんとその日のうちに編入試験を受けさせてもらい、合格。慶應大学を卒業した後2年間バングラデシュに住むことを決めたのだ。

現地で暮らす中、物作りに取り組むきっかけが、ジュートと呼ばれる素材でできた麻袋との出会い。調べてみると、世界のジュートの9割がバングラデシュ産だった。

「この人たち、麻袋をいっぱい作っているけど、本当にこれしかできないのかな、と。かわいいバッグを作るイメージが湧いたとき、しかもそれを持っているお客さんのかわいい女性の姿が浮かんで、『これじゃん!』って」(山口)

山口は一人でジュートのバッグをデザイン。それを160個、バングラデシュの工場に作ってもらい、日本に持ち帰って売り切ったのだ。

2006年、マザーハウスを設立。まず始めたのは資金作りのアルバイトだった。焼肉店や量販店で働いた。そのお金を握りしめてバングラデシュに戻り、作ってくれる工場を探した。

しかし、最初に頼んだ工場は、約束の納品日に工場へ行ってみると、商品どころか機械もなく、もぬけの殻になっていた。別の工場に頼んだ時は、送られてきた商品が全て不良品だったこともあった。

自分で工場を作るしか手はない。そう思った山口は、2008年、従業員3人で自社工場を設立。創業当時からスタッフとして働くムンナは「彼女は当時からよく言っていました。いつか大勢の人を雇える工場にしたい。バングラデシュのために何かしたいと」と言う。

今、マザーハウスの自社工場では200人が正社員として働いている。

print
いま読まれてます

  • アジア最貧国に自社工場。日本版マザーテレサが挑む貢献ビジネス
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け