【超英語勉強法】NY在住・しゃべるネコを飼う男が英語を身につけた歴史

© nature graphics - Fotolia.com© nature graphics - Fotolia.com
 

【英語との出逢い】

『しんコロメールマガジン「しゃべるねこを飼う男」』第87号(2014年12月23日号)

僕はかれこれもう14年ほどアメリカに住んでいますが、そもそもどういった経緯で留学したのかとか、英語に興味をもったのはいつかとか、そういった話は今までしたことがありませんでした。そこで、今回はそんなことを書いてみたいと思います。まずは、僕の英語との出会いについてです。

僕が英語に始めて触れたのは、子供向けの英会話教室でした。当時、東急東横線の白楽駅近くにある、日本人の先生が運営していた英会話教室です。僕は当時、恐らく5~6歳だったのではないかと思います。もしかしたら、もっと小さかったかもしれません。

英会話教室に行き始めたのは、もちろん僕自身の意思ではありませんでした。僕の父が国際的なビジネスマン母が過去に留学経験があったことなどから、両親ともに英語の有用性を感じていたのでしょう。子供時代から英語に触れていれば、後々大きなアドバンテージになると考えて、僕を英会話教室に通わせてくれたのです。本当に有り難い、思慮深い両親です。

さて、僕は子供の頃から大人と会話をすることが多く、会話の内容も結構しっかりしていたそうです。ませていたというか、かしこかったというか、生意気だったというか、そんな感じです。なので、子供同士がキャッキャ何を喋っているのか分からない会話よりも、大人との会話により興味を持っていたのは事実です。5才児の子供が、他の子供は何をしゃべっているのかわからん!と思っていたのですから、本当に生意気な子供です。

そしてこの英会話教室ですが、子供向けということで、子供が楽しめるのが第一というスタンスでした。それもあって「会話」のレッスンがないのです。ご想像どおり、ABCDEFG~♪と歌うのです。みんなが素直に歌う中で、僕は「ABCDEFG~♪その先しってる~しってるよ~♪」と歌い、先生が「じゃあ、もう一度歌いましょう!」というのに「いいかげんにせえ!」ツッコミを入れたくてウズウズしていたのを覚えています。そして、ABCの歌の後は、また違う英語の歌です。子供たちは盛り上がって、意味わからず英語の単語を声高く歌うのです。そして、手をつないでみんなで輪をつくって、それはそれは可愛い子どもたちの情景です。ところが僕は、これを素直にできずに、悶々としていました。別に、皆の前で手をつなぐことや歌を歌うことが恥ずかしかったわけではありません。ただ僕は「これじゃ英語ができるようにならない!歌なんて子供だましだ!」と子供心に思っていたのです(笑)。

そして母に、自分の気持ちを伝えました。すると母は「歌を通して英語の音に耳が慣れることが意味があるのよ」と言いました。ところが僕は「英語ができない他の子供の歌声聞いてても、耳が慣れるなんてことはない」と思っていました。でもそこはぐっと堪えて「でも、歌ばっかり歌ってて全然会話の練習もなんにもないんだよ」と母に伝えました。僕は大分この英会話レッスンに不満を持っていたらしく、何度も通うことなく止めさせてもらいました。

【イマイチな英語教育】

それから年月は流れ、僕は中学生になりました。当時は、中学一年生時から英語が学校の科目として正式に含まれます。最初の英語の授業で「Apple」だとか「This is」だとか「I am」だとかの発音を皆で練習する時、僕はそれまで母や英語のラジオなどから聞いた音をそのままマネするように発音をしてみました。つまり、より正しい発音をしようとしていたのです

ところが、僕がその発音をすると、クラスの周りが僕を見てクスクスっと笑って「変だ変だ」言うのです。当時はネイティブの英語の先生もいなかったので、英語の先生も日本語訛りの英語です。This is を「ジス・イズ」という声がクラスで響く中で、僕は頑なに Th の発音を入れて「ディス・イズ」と発音し、皆の笑いものになっていました。でも、僕はその音が正しいと思っていたからその発音を続けたのです。そのうち、英語の先生が「Do you like Chuka-Ryori(中華料理)?」と言うので、「中華料理は日本語やっ!」と反論していました。けれども、そんなクラスにいたら僕もそのうち「How much money do you have?(いくら持ってますか?)」という先生の質問に「I have hyaku yen(100円です)」と応え、先生に「Can I have your hyaku yen?(その100円を私にください)」と返され、「生徒にたかるなやっ!」っと突っ込みたい気持ちがありながらも、もう英語がおかしいのかその質問内容そのものがおかしいのか、わけわからなくなるような英語教育を受けていました。

ちなみに、当時はTh の発音にそんなにこだわっていたのに、Theo のTh の発音がおっくうになって「Theo」が「しおちゃん」になってしまったなんて、とってもけしからんことです(笑)。でも、もう「しおちゃん」という呼び方以外にはしおちゃんはあり得ないような気がします。しおちゃんは、やっぱりしおちゃんですよね!

さて、話がずれましたが、僕の英語との出逢いの始まりはそんな形で、決して特別に英才教育を受けたわけでも、恵まれていたわけでもありませんでした。けれども、母に英会話教室に連れていかれたことで、「これはなにか違う」ということに対して断じて反対して意思を貫き通すことは、ある意味収穫だったのかもしれません(笑)。

そんな僕は、高校生になりました。僕が行っていた高校には、とっても授業が難しいことで有名な英語の「さうすて先生(仮名)」がいました。さうすて先生は、1時間程度の授業で、黒板10枚分はビッシリ書いて消したんじゃないかというくらい、ハイスピードで教える先生でした。僕はそんなハイスピードにはついていけないので、ノートをとるのを諦めました。そして、さうすて先生をただひたすら観察しはじめたのです。

僕がさうすて先生を見ていて気になったのは、時々授業が脱線して食べ物の話題になる時に、「みんなも食べてみてね」と言うのを、さうすて先生は「みなさんも賞味してみてはいかがかな?」と片方の口角を上げながら気取った感じでいうのです。「賞味」って何!「賞味期限」でしか「賞味」なんて言葉を知らなかった僕は、さうすて先生の度々出てくる「賞味」発言が気になって仕方がありませんでした。それから、さうすて先生の日本語はウソっぽい英語訛りなのが、僕は気になって仕方がありませんでした。たとえば、「そうしてください」というのを、「さうすてくだすぁい」と鼻にかけた感じで言うのです。そんな調子で、「さあ、そのおまんじゅうを、みなさんも賞味すてくだすぁい」なんて言われるのですから、僕の英語授業への集中力はまったく上がりません。

そんなこんなで、僕の英語学習はそれまでずっと実にならない状態でした。もちろん「さうすて先生」のもとで英語ができるようになっていた生徒もいたので、さうすて先生を責めるつもりは全くありません。僕がさうすて先生の「さうすて賞味」発言が気になって勉強にならなかっただけです。

そんな僕でしたが、学校の外で出会った英語の先生との出逢いと、その先生から教わった英語の勉強法で、英語力をいきいなりぐっと伸ばすことができ、将来の留学を真剣に考えるほどになったのです。

 

『しんコロメールマガジン「しゃべるねこを飼う男」』第87号(2014年12月23日号)
著者/しんコロ(ねこブロガー・ダンスインストラクター・起業家・医学博士)
神奈川県生まれ。ニューヨーク在住。環境科学の修士号を取得後渡米、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)、ドイツキール大学での客員研究員を経て、免疫学の博士号(Ph.D.)をワシントン大学にて取得。現在、世界有数のがん研究所として知られるニューヨークのメモリアル・スローンケタリング・がんセンター勤務。著書に「しゃべるねこ、しおちゃんと僕」などがある。
≪サンプルはこちら≫

print
いま読まれてます

  • 【超英語勉強法】NY在住・しゃべるネコを飼う男が英語を身につけた歴史
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け