沖縄に手を出してきた中国の「一帯一路」、狙いは本土との分断か

 

それはともかく、単なる経済交流ということならいいのですが、相手は中国です。台湾では、前馬英九政権が中国との経済交流を活発化させる「サービス貿易協定」を締結しようとしたところ、中国企業の進出によって市場を奪われ台湾人の主権が脅かされるとの懸念から、2014年3月に「ひまわり学生運動」が起きたことは記憶に新しいでしょう。

中国では共産党員が3人以上いる企業では、党の細胞組織をつくる義務があります。もちろん、共産党一党独裁の中国では、企業の社長よりも党の指導のほうが優先されることは言うまでもありません。

最近では、中国国内の外国企業にもそれを強制する動きが出始めており、外資は懸念を強めています。したがって、中国企業であればなおさら、中国共産党の言いなりとならざるをえないのです。日本へ進出する中国企業にしても、中国共産党の意思や思惑で動いているのであり、日本の私企業とはまったく異なるのです。

アングル:中国の外国企業、共産党の「内部介入」を懸念

中国が沖縄を狙うのは、言うまでもなく琉球を回収」(奪還)するためです。日本政府は「一帯一路」に参加する意思を見せていませんが、沖縄を「一帯一路」に引き入れることで、沖縄と本土の分断を狙っているわけです。

じっさい、中国には「琉球網」という団体があり、沖縄は中華民族琉球特別自治区」であるとさかんに主張しています。

琉球網

そもそも史前において、台湾・琉球・九州は長い間同一文明圏だったとされています。博物学者の鹿野忠雄は、縄文文化の最南端は台湾南部(台南中心)だったと予言し、戦後、それを証明する縄文土器が多数発掘されました。現在も台南市の学園都市に展示され、私も見学したことがあります。

中国では、中国の正史に記述されている「琉球、「台湾のことだと無理やり解釈・注釈されることも多いですが、中国人から見れば、台湾人と琉球人は区別がつかないほど似ているのでしょう。だから中国は台湾のみならず沖縄まで固有領土だと主張するのです。

私の学生時代、台湾北部の基隆には港蒋介石に庇護されていた「琉球亡命政府」があり、国慶節には蒋介石の「全国の同胞たちよ!」という演説の後に、琉球亡命政府主席の蔡璋が「琉球独立」を謳うことが毎年の恒例行事となっていました。

当時の国民党は、日本本土と沖縄に別々の代表処をつくり、現在の中国共産党と同様に、日本と沖縄の分断を画策していました。しかし、陳水扁政権時代に、駐日大使(代表)を許世楷氏に統一し、代表処もひとつにしました。国民党の沖縄戦略を潰したのです。

台湾は、前述した「ひまわり学生運動」以降、中国に接近する馬英九政権や国民党への批判が高まり、2016年には蔡英文の民進党への政権交代が起こりました。以後、蔡英文総統は中国が求める「92共識」(国民党と共産党で合意したとされる「一つの中国」への共通認識)を一切拒否しています。

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