新たな年を迎え、気持ちも新たに仕事始めという人もいれば、まだお正月休みを満喫中という人もいるこの時期。実は「税金」「節税」とも大きく関係していることをご存知でしょうか。今回のメルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』では著者で元国税調査官の大村さんが、「お正月にまつわる税金のお役立ち情報」と題して、ちょっと得する節税の裏ワザを大公開しています。
お正月は税金の節目
今回はお正月発行ということで、ちょっとお正月気分のメルマガにしようと思っております。つまり「お正月にまつわる税金のお役立ち情報」ということです。
税金というのは、期日によって課税されることになっています。だから「期日によって」、思わぬ節税になったりもしますし、その逆になったりもします。
まず最初に出産を例にご説明しますね。
税金の世界では、「12月生まれの子供は親孝行」というようなことが時々言われてきました。
なぜ12月生まれの子供が親孝行だったかというと、子供が生まれれば「扶養控除」というものが受けられます。扶養控除というのは、扶養家族一人につき、38万円の所得控除が受けられるというものです。所得控除とは、税金の対象となる収入から差し引けるものです。つまり、38万円の所得控除を受けられるということは、税金の対象となる収入が38万円分減額されるということです。平均的サラリーマンでは、5~6万円の減税となります。
そして、この扶養控除は、一年のうち、1日でも扶養している期間があれば、受けられるのです。つまり、12月31日に生まれた子供であっても、その年の一年分の扶養控除が受けられるのです。
だから、12月生まれの子供は親孝行と言われていたのです。
が、児童手当が創設されてからは、16歳未満の子供は扶養控除の対象からはずされましたので、現在では、「12月生まれの子供は親孝行」という税に関する格言は、通用しなくなりました。
結婚するなら年末?
が、この「一日でも扶養している日があれば、その年の扶養控除に入れることができる」という税の仕組みは、他にも応用が効きます。
たとえば、結婚です。
結婚して、配偶者を養っている場合は、「配偶者控除」という所得控除を受けられます。この配偶者控除も、一日でも養っている日があれば受けられるのです。ということは、12月31日に結婚したとしても、一年分の配偶者控除を受けることができるのです。
また、正月早々ちょっと縁起が悪いですが、離婚の場合はその逆になります。離婚する場合も、一日でも養っている日があれば受けられるのですから、一番、節税効果が高いのは、1月1日に離婚することです。
ただし、離婚した相手が、その年のうちに再婚したり、親元に戻るなどして、誰かの配偶者控除等に入ったような場合は、配偶者控除は受けられなくなります。
これは死亡に関しても、同様のことが言えます。
扶養している家族が死亡した場合、一日でも扶養している日があれば、扶養控除に入れることができます。だから、正月に死亡したとしても一年分の扶養控除が受けられるのです。
新築住宅を買うならお正月に!
期日によって税金が変わってくるのは、扶養関係ばかりではありません。
不動産関係にも、同様のことがあるのです。
というのも、固定資産税は、毎年1月1日に、土地や建物を所有している人にかかってくる税金です。だから、1月2日以降に所有すれば、その年の固定資産税は払わなくて済むことになるのです。
中古の物件や、土地の場合は、原則として、その年のうちに所有した期間を按分し、元も持ち主と新しい持ち主双方が払うことになっています。
しかし新築の家や新築マンションの固定資産税は、按分することはありません。
だから新築の家を買う場合は、年末に買うよりは、年初に買った方がいいのです。12月末に家を買うのと、翌年の1月に家を買うのとでは、1年分の固定資産税が違ってくるのです。
ただし、住宅取得控除(住宅ローン控除)などを受ける場合は、受けられる年が1年遅れることになるので、注意を要します。
また消費税の増税前後に購入する人も、消費税の増税日に注意する必要があります。消費税の減税対象に「年内の購入」という条件がつけられているような場合は、固定資産税を免れても、消費税が増税になってしまった、というようなこともあり得るからです。
1月1日の住民票を海外に移していれば住民税は払わなくていい?
不動産関係だけじゃなく、海外関係の税金も「お正月」は大きなキーポイントとなります。
というのも、住民税というのは、1月1日現在に居住している都道府県、市町村に納める税金です。
逆に言えば、1月1日に日本の都道府県に居住していなければ、住民税は払わなくていいのです。
本来は1月1日に住民票がないだけでは、住民税を逃れることはできません。住民税を逃れるには、海外に居住していなければならないのです。
「海外に居住している」
という要件は、一年のうちの大半を海外で過ごす、ということになっています。
しかし、住民票を海外に移してしまえば、一年のうちにどの程度、日本で過ごしているのか、調べられることはほとんどないのです。住民税を直接徴収するのは、市町村ですが、自分の街に住所がない者を調べる筋合いはないし、市町村にそのような調査能力はないからです。
本当に海外に居住したいと思っている人は、使える節税策なので、ぜひ使ってください。移住するなら、年末にするのです。そのときは、住民票を移すのを忘れずに。
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