MAG2 NEWS MENU

死の原因はいじめ。良い方向に転換し始めた「第三者委員会」の変化

これまで、いじめ解決の現場ではどちらかというと「加害者や事件を隠蔽したい学校サイドに立つ」と受け止められてきた第三者委員会。しかし、無料メルマガ『いじめから子供を守ろう!ネットワーク』によると、そんな第三者委員会の姿勢が徐々に変わりつつあるそうです。今回の記事ではその具体的な事例を紹介しています。

学校に求める体質改善

2017年末、子供たちの悲しい事件が相次いで報道されました。12月20日、兵庫県尼崎市では、市立中学2年の女子生徒が自宅で首を吊って亡くなりました。「学校の部活動に疲れた」という内容のメモが残されていたと報道されています。女子生徒は中学校で軟式テニス部に所属しており、市教委はいじめの有無も含めて関係者から事情を聴いているとのことです。

続いて22日、神戸市東灘区の市立高校1年の男子生徒が校舎5階から飛び降りて重体となっています。21日、22日の2日に渡って15時間半の指導を受けていたことがわかりました。男子生徒は、ツイッター上で、特定の生徒をからかうようなやりとりをしたとして、別室で指導されていました。

さらに東京都でも26日、板橋区の東武東上線の駅で、私立中学1年の男子生徒が電車にはねられて死亡しました。生徒は駅のホームにいて、電車がホームに進入してくるのを確認して飛び込んでおり、自殺とみられています。冬休みに入ったばかりの日に起きた事件です。

学校でのいじめやトラブルが大きな悲しみを産んでしまう現状に歯がゆさを感じます。教育界は変わらなければなりません。そのことを感じているのは私たちだけではないと思います。実際、第三者委員会の姿勢が少しずつではありますが、変わりつつあると感じる報道があります。

23日、一昨年9月に兵庫県加古川市で、市立中学2年の女子生徒が自殺した事件では、第三者委員会が、いじめが自殺の原因だったと認定する調査結果を発表しました。市教委が設置した第三者委員会ではありますが、「女子生徒がいじめを訴え、学校が把握する機会が何度もあったのに、学校側が何も対応しなかったことが自殺につながった」と結論づけたのです。

続けて、25日には、福島県須賀川市の市立中1年の男子生徒が今年1月に自殺した問題でも、市教委が設置した第三者委員会が、「(自殺は)いじめが大きな一因となった」と結論付ける調査結果を公表しました。「教職員が事態を軽視し、情報が教職員間で十分に共有されず、適切な指導や助言がされなかったことが問題を深刻化させた」と指摘しています。

子供が亡くなってからのことですので、遅いと言えば遅いのですが、それでも、第三者委員会が、子供の自死の原因はいじめであったこと、学校側のいじめの軽視や、いじめを把握しても何も対応しないことが重大な結果をもたらしたこと等を、明確に認定し発表することは大きな前進です。学校や教師への警鐘となり、次のいじめ自殺を防ぐことになるものと思います。自死事件だけでなく、不登校になったり、傷害事件になったりしたことで、第三者委員会が設置されることがあります。私たちのところにも、第三者委員会が設置された保護者から相談が寄せられています。その中には、「いじめではなかった」と結論付けられる事案も少なくありません。今回の報道にあるような公正な判断ができる第三者委員会が今後も増え続けること期待したいと思います。

しかし、やはり重大事件が起きてからでは遅いのです。報告書で指摘されている学校の姿勢、隠蔽体質こそ、何よりも変えなければならないことなのです。自分たちの責任から逃げ、「いじめではなかった」と言い訳するような姿勢が、正しい姿勢であるとは、絶対に認められません。学校の体質改善に思い切ったメスを入れる姿勢を監督官庁である文部科学省には求めたいと思います。

2018年もいじめ撲滅に向けて活動を進めてまいります。お子さんのいじめに関してご遠慮なくご相談ください。少しでもお役にたてれば幸いです。子供たちが希望にあふれる学校生活を送ることができますように心からお祈り申し上げます。

いじめから子供を守ろう ネットワーク
代表 井澤一明
事務長 松井妙子

 

いじめから子供を守ろう!ネットワークこの著者の記事一覧

「いじめ」と学校の「いじめ隠ぺい」から、子供たちを救うための、父母によるネットワークです。いじめの実態やいじめ発見法、いじめ撃退法、学校との交渉法、いじめ相談などを掲載します。

無料メルマガ好評配信中

この記事が気に入ったら登録!しよう 『 いじめから子供を守ろう!ネットワーク 』

【著者】 いじめから子供を守ろう!ネットワーク 【発行周期】 週刊

print

シェアランキング

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
MAG2 NEWSの最新情報をお届け