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中国大手の「海航集団」が債務危機。バブル崩壊が日本に酷似してきた

このまま日本のバブル崩壊の「再来」となるのでしょうか。以前より黄色信号が灯っていることが指摘されていた中国経済ですが、すでにバブルは2015年に崩壊。そしてソフト・ランディング中という現在の中国経済の動きは、そのまま日本のバブル経済崩壊の動きに重なって見えると語るのは、メルマガ『高城未来研究所「Future Report」』の著者で国際経済にも精通する高城剛さん。最新号のメルマガで高城さんは「私見たっぷりに」と前年置きした上で、近く中国経済に訪れるという「歴史的な日」について大胆に予言しています。

中国バブル経済は「難しい局面」に突入した

今週は、中国経済の今後につきまして、私見たっぷりにお話ししたいと思います。

いまから二年近く前に、本メールマガジンや連載等で、香港携帯電話市場の不況から、中国経済に黄信号が灯っているとお話ししました。

中国のバブル経済は、2015年6月に崩壊しており、現在、ソフトランディング中ですが、最近かなり難しい局面に陥っているように見えます。

まず、2010年に中国で巻き起こった「住宅バブル」は、米国の量的緩和政策の連鎖からはじまりました。

僕には、日本の80年代後期に起きたバブルと重なって見えます

つまり、米国の意向による米国救済の側面が大変大きく、この頃から、時の米大統領バラク・オバマは、公式に中国を持ち上げ、G2(米国と中国の意)を口に出しはじめました。

1985年のプラザ合意により、日本のバブルがはじまり、1991年に崩壊します。

近年の中国の様相は、「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と持ち上げられていた当時の日本と酷似しており、もし、中国も日本と同じ道(および時間軸)を進むのなら、現在の状況は、97年から大手金融機関が連鎖的に経営破綻する前の「ランディング期」にあたると考えていいでしょう。

中国のバブルのはじまりは、2008年のリーマンショック後から本格化しました。

当時、米国の意向を汲みながら、中国は「穏やかに緩和的な(moderately easy)」金融政策にシフトしていくことになり、住宅バブルがはじまります。

また、この時の景気刺激策の規模4兆元という驚くべき額は、中国の年間国内総生産(GDP)の15%近くに相当するほどでした。

しかし、真夏の夜の夢は長くありませんでした。

2015年6月中国の株式市場は暴落します。

どうにかソフト・ランディングしようと、政府も企業も様々な策を講じましたが、この様子は、バブル崩壊直後の日本企業と大変似ています

つまり、すでに死に体なのです。

今月、ブルームバーグが匿名を条件にした関係者の話によると、中国を代表する巨大複合企業「海航集団」が、「1-3月(第1四半期)に、少なくとも150億元(約2580億円)の返済が不足する可能性に直面している」と報道しました。

また、ニューヨーク・タイムズによりますと、驚くべきことに「海航集団」は、現在社員に資金拠出を懇願しているものと思われます。

実は、このような光景は、日本のバブル崩壊時にも度々見られました

経営者からすれば、いままで散々いい思いをさせてやったんだから、会社がピンチの時に社員が協力するのは当たり前だ、という考えだと思われます。

ちなみに、このような行動に出た当時の日本企業はほとんど現存していません

「海航集団」の経営難が問題なのは、世界的に余波があまりに大きい点にあります。

そのひとつが、ドイツ銀行です。

実は、ドイツ銀行の筆頭株主が海航集団」で、およそ一年ほど前にドイツ銀行の資本増強に応じたばかりです。

その後も株式比率を高め、現在、およそ10%を保有しています。

そのほかにも「海航集団」は、大手ホテルチェーンの「ヒルトンなども所有しています。

現在、海航集団は債務返済の流動性逼迫を回避するため、1-6月に約1兆7300億円相当の売却を目指すつもりのようですが、これが進めば、世界中に余波が起きるのは間違いありません。

いままで、言い値同然で買っていた人たちが、突然店じまいするようにセール価格で販売するからです。

しかも、まだ日本の大手金融機関が連鎖的に経営破綻した時のような、国家のターニングポイントとなるような出来事が、中国では起きていません。

もし、歴史のサイクルが同じように時を刻むのなら、中国に歴史的な日が訪れるのは2020年代早々ということになります。
残された時間は、あとわずかしかありません。

image by: Frame China / Shutterstock.com

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