2.昭和22年5月18日生まれの妻(今は70歳)
20歳になる昭和42年5月から昭和50年6月までの98ヶ月は公務員だったが、この期間は退職一時金として全額退職時に貰ってしまった(ちょっと突っ込んだ内容ですがこれもカラ期間)。28歳の時の昭和50年7月に今の夫と婚姻し専業主婦となった。
夫は昭和57年9月まではサラリーマンだったから、この妻は国民年金に強制加入ではなくて任意加入だった。妻は任意加入しなくて、昭和50年7月から昭和57年9月までの87ヶ月はカラ期間となった。ここはよく話題になる取りやすいカラ期間ですよね。
じゃあ、もうサラリーマンの夫の妻でもない昭和57年10月から昭和61年3月までの42ヶ月の期間はどうなるのか。ここも実は妻にとっては任意加入であり、任意加入しないならカラ期間になる。なぜそうなるのか。
夫は、昭和57年9月退職までに厚生年金期間20年以上を満たしてますよね。つまり、「厚生年金を貰う資格期間をすでに満たしちゃった人の妻」になるから、この妻は任意加入扱いになり、任意加入しないならカラ期間となるわけです。なぜなら、昭和61年3月31日までの旧法時代の厚生年金というのは厚生年金で妻の分の保障もひっくるめているような給付水準だったから、「わざわざ専業主婦を国民年金に強制加入は求めなくていい」という事で妻を任意加入扱いにしていた。
ただこうすると離婚した時や妻自身が障害になった時に妻が国民年金に加入してなかったせいで妻自身の名義で年金が貰えない大きなリスクがあったんです。だから、そんな専業主婦も昭和61年4月からは強制加入となり、ここからは国民年金保険料を納めなければ未納扱い。女性の年金権が確立された素晴らしい改正でもあったんです。
夫がもしサラリーマンや公務員になったなら、妻は国民年金第三号被保険者として最大60歳までは国民年金保険料納付済み期間となる(年金の受給権持った夫が65歳を迎えるとその後は妻は3号被保険者にはなれない)。この夫は退職後はサラリーマンでも公務員でもなかったから、妻は自分で国民年金保険料を納付しないといけないですね^^;。
というわけで、昭和61年4月から妻は強制加入となったが、60歳到達月の前月である平成19年4月までの253ヶ月のうち73ヶ月分の国民年金保険料を納め、あとは未納にしたとします。
この妻の場合は65歳(平成24年5月)の翌月分から国民年金から老齢基礎年金がもらえる人ですが、この平成24年時点では「年金保険料納付済期間+免除期間+カラ期間≧25年」でなければ老齢基礎年金は貰えなかった。25年以上が10年以上に短縮されたのは平成29年8月から。
でもこの妻には、カラ期間が98ヶ月と42ヶ月と87ヶ月、そして自ら納めた期間73ヶ月あるから合計300ヶ月(25年)が有効期間となり老齢基礎年金が65歳から普通にもらえてる。
なお、実際金額に反映するのは73ヶ月分のみ。記事の冒頭で述べたように、カラ期間は年金の期間には含めるけど、年金額には反映しない空(カラ)っぽの期間だから。よって、妻の老齢基礎年金額は779,300円÷480ヶ月×73ヶ月=118,519円(月額9,876円)。
ただし65歳時点でこの夫に配偶者加給年金が付いていたら妻の老齢基礎年金に振替加算98,692円(年額)が加算される。振替加算が付くなら、老齢基礎年金118,519円+振替加算98,692円=217,211円(月額18,100円)。
まあ…去年の大ニュースとなった振替加算漏れが無ければ加算されてる。
● 加給年金と振替加算(日本年金機構)
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