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高城剛氏インタビュー 「2018年、日本と世界はこう変わっていく」

2017年は「仮想通貨元年」とも呼ばれ、今まで不動と考えられていた「通貨」の価値観が大きく揺らいだ一年でしたが、今年2018年はどんな変化の年となるのでしょうか。MAG2 NEWSでは、メルマガ「高城未来研究所」の著者で、世界を股にかける高城剛さんに、全く先が読めない世界情勢の最新の動向を聞くべくインタビューを敢行。近いうちに崩壊するであろう「スマホバブル」から、日本では笑い話の「大麻解禁」まで、目が離せない内容でお送りいたします。

高城剛が予言する2018年以降の世界と日本

MAG2 NEWS:ここ数年、MAG2 NEWSでは、年末年始に高城さんにお話をお聞きするのが定番になってるんですが、まずは高城さんにとって2017年はどんな一年でしたか。

 高城:そんな芸能レポーターの囲みインタビューのようなザックリ話を聞いてどうするんですか(笑)。実は、2017年の前半はまったく働きませんでした。ピアノ習ってたりして、「お稽古」に忙しい日々だったんです。そうやって一年の前半働かなくなると、後半も同様に働けなくなっちゃうんです。

そこで、2018年は社会復帰というか、スタートダッシュでコケないように、なんとか頑張ってますよ、こうやって(笑)。スペインとかに行っちゃうと、またのんびりしちゃうから、なるべくやる気のある人間で溢れてるアジア圏に身を置くようにしてます。

アジアは、熱いですよね。全世界のうち、今は15億人しか中産階級がいないんだけど、これから15年で50億人ぐらいになるんですよ。で、その7割がアジア人だから、円安の間は観光客は増えますね。もちろん、それによって日本人は衰退していくんですけどね。京都はインド人で溢れかえると思いますね。

MAG2 NEWS:では早速、今年もデジタルガジェットについて、まずはお聞きしたいと思います。

 高城:まずは、皆さんが動向に興味あるアップルの話から。

いよいよリリースされるmacOS10.13.4のベータ版を見る限り、大きく変わる予兆を感じます。驚いたのは、ついにeGPUを本格的にサポートすることなんです。

ここ最近のMacは、中も開けられないし、メモリーすら増やせませんでした。でも、eGPUをサポートするということは、いままで、自社だけですべて完結してた姿勢を改め、他と協業していくことを示唆しています。

この年末にiMac Proが出荷されましたが、あれは、プロでもなんでもないですよね。GPU見ると、ただのVega 64で、ゲーマーのためのグラフィックカードなんですよ。同じシリーズでも、本当の「プロ」用、Radeon Pro SSGをiMac Proに搭載することができません。これがあれば、8Kの映像編集だろうが、仮想通貨のマイニングだろうが、やりたい放題なのに、iMac Proは規格が自己完結すぎて、どうにもならないんです。

そこで、macOS10.13.4を見ると、eGPUを本格的にサポートしますので、「近年では考えられなかった、他社製品を組み込み可能なMac」が、今年登場するでしょう。噂されるMac Proの新型かもしれませんし、なにより、この領土の一部を、他社に解放したアップルの変化は、想像以上に大きい。エコシステムの崩壊を感じますね。いまでは想像できない協業も発表されるかもしれませんね。自分たちだけで、すべてを行うのを諦めたわけですから。

MAG2 NEWS:iPhoneやスマホは、どうなるのでしょうか?

高城:スマートフォンで今年台風の目になると思うのが、REDです。

REDは、プロフェッショナル用の動画カメラメーカーで、僕も愛用者のひとりです。本社は、カリフォルニアにあります。この企業は、スポーツサングラスで有名なオークレーの創業者のカメラ趣味が高じて始まった会社なので大変面白いのですが、昨年、突然スマートフォン「Hydrogen One」の発表を行いました。今年の夏に発売すると言ってます。

Androidベースなのですが、画面が浮き出るホログラフィックディスプレイになっているのが、最大の特徴です。これだけだったら、スマホ業界でよくあるネタなんですけど、REDにホンハイとシャープが、今年大型出資するんです。

建前上、現行のREDカメラの小型版を作ると言ってますが、一切、「Hydrogen One」について、触れてません。夏に大々的にリリースするわけだから、ホンハイとシャープが作るに決まってるじゃないですか(笑)。ホログラフィックディスプレイの技術は、Leiaという企業が提供してるのですが、いつものように、このままホンハイのモノになってしまうでしょうね。そして、技術流出して陳腐化して、ダメになるんですよ、GoProのように。

あと、この「Hydrogen One」が面白いのは、誰も見たことがないのにほぼ完売してるんです。1台20万円ぐらいするのに。キックスターターやテスラでも、一応プロトタイプや、完成した商品の映像がありますよね。でも、この「Hydrogen One」は、完成品どころか、なにも見せないで売りつけ決済を行う。これは、新しい! アップルにも、見習ってほしいですね。誰も見たことがないけど、「iPhoneXXX」を、売るような。ええ、僕もすっかり釣られて、昨年夏の発表と同日に「Hydrogen One」予約購入しましたよ(笑)。いつ来ることやら。

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MAG2 NEWS:続いて、毎年お聞きしている経済動向についても、伺えればと思います。

高城:一介のクリエイター風情に経済動向を聞くのもなかなか変な時代なんだと思いますが、仕事柄、世界の隅々まで頻繁に行って、様々な人たちにお目にかかることがあるので、肌感覚で感じるものがあるのは、確かです。それと、これこそ、仕事柄だと思うのですが、メディアと景気や経済動向はとても近いと考えています。

少しだけ、歴史を振り返りましょう。

1920年代は、米国は好景気に沸いていて、著しい成長を背景に、大量生産大量消費時代に突入し、「大衆」という概念が生まれ、「狂騒の20年代」(Roaring Twenties)と呼ばれてました。この時、普及したのがラジオです。

このラジオがはじまったのは、ピッツバークで、時は1920年11月2日でした。

この日付から、もしかしたらピンと来た方もいらっしゃるかもしれませんが、「スーパーチューズデー」、つまり米国大統領戦にあわせてラジオ放送を開始したんです。

これに皆、驚きました。

なにしろ、人類史上初のリアルタイムで離れた場所から事象を伝えることができる新しい大衆伝達手段だったからです。

翌年、1921年から22年にかけて、時代の好景気に押されるように、あっという間にラジオは普及。

当時のキラーコンテンツは、リアルタイムに聞くことができるニュースと音楽で、人々はまるで未来から来た機器のようなラジオに魅了されていきました。

ラジオで音楽を流すのは、随分と反対もあったそうで、最近のインターネットで音楽を流すどころの騒ぎじゃなかったと言います。

なにより、音響に苦労し、オーケストラをライブ演奏したのはいいのですが、部屋の反響によって音響がメチャクチャで聞けたものではない。

そこで、オーケストラを戸外テントを張ったなかで演奏させたところ、今度はテントが吹き飛んで、次にはテントを広い部屋のなかに張って演奏をすると、それなりに聞こえるようになった。

いまでは、どこのスタジオでも当たり前になったが、吸音のために壁に布を垂らしたり、なにかを施すようになったのは、この時からなんです。

この米国大統領戦で始まったラジオのニュースは、遠く離れた場所に起きたトピックを、新聞よりはるかに早く、リアルタイムで手に取るように理解できたので、大衆のなかでも、ある特定層に熱狂的に好まれました

それが、投資家です。

投資家は、誰よりも早く情報を手に入れようと、ラジオと巨大アンテナを自宅に設置し、行ったことも見たこともない土地にある企業に次々と投資し、株式市場は日に日に熱くなって行きました

また、このラジオというメディアの登場とともに投資を始めた者も多く出ました。まるで、昨今の仮想通貨のように

こうして、狂騒の20年代は高揚するんです。

1929年の世界恐慌が訪れるまで。

この恐慌から、第二次世界大戦へと突入します。

そして1941年3月、米国でNTSC方式の白黒テレビ放送が開始。

テレビは1930年代に開発されてましたが、広く販売されるようになったのは、第二次世界大戦後になってからです。

1946年には、全米のテレビ普及台数は1万7000台しかなかったのですが、3年後には、毎月25万台のテレビが販売され、50年代を通じて全米の家庭の4分の3が少なくとも1台のテレビを所有しました。この間、米国は第二次世界大戦戦勝国として、好景気に湧きました。

ですが、まるでテレビの普及が一般化したのを見計らうように、米国経済は悪化の道をたどります。

1960年代には、凄まじいほどに経済が減速し、1971年8月15日、ついに米ドル紙幣と金との停止を宣言したニクソンショックが起きるんです。

これ以降、世界は今日まで続く変動相場制へと移行します。

1980年代になると、米国で「ニューメディア」と呼ばれるケーブルテレビと衛星放送が勃興します。既存の基幹放送だった地上波テレビではなく、ニュース専門局のCNNや音楽専門局のMTVなど、専門性の高い放送局が次々と開局。1980年代中盤には、家庭のケーブルテレビ(もしくは衛星直接受信)の普及率が50%を超えるまでに、「ニューメディア」は急成長しました。

そして、1987年10月19日月曜日、史上最大規模の世界的株価大暴落ブラックマンデー」が起きます。

もう、おわかりかと思いますが、メディア、というより情報の伝搬システムの変化がバブルを生み、そして必ず崩壊するんです。

世界最古の金融バブルと言われるオランダのチューリップバブルから仮想通貨まで、人類史におけるバブルとその破綻はそれまでになかった情報の爆発によって引き起こると僕は考えてます。

ある時、「魔法の機械」を入手した日から、人々はまったく知らない世界の情報を簡単に手にするようになり、どこからともなく欲が湧き、悪巧みを考える。

ウッシッシ、これを使ってどうにか、ひと儲けできないか、と。 

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もう少し、メディアと社会変化について、お話します。

1980年代、本格普及が始まったケーブルテレビと衛星放送はいくつもの言語がある欧州でも普及し、ドイツ語放送をイギリスで見ることや、フランス語放送をイタリアで見ることが出来たので、とりわけ国境を超えて生活する移住者に大変好まれたサービスでした。

なにより、簡単に国境を越えることが出来る衛星放送は、東側と呼ばれていたの向こうでも受信可能だったんです。

MTVやCNN、スポーツ専門局のHBOから数多あったクッキングチャンネルまで、西側の番組を見た「壁」の向こうの人々は、あまりの生活の違いに驚いたそうです。

噂にしか聞こえなかった西側の生活が、違法とはいえ毎日のようにテレビから流れ、世界の真実を垣間見ることになりました。こうして、東側の人々は、自国の政治や社会システムを疑問を持つようになっていきます。

そして、ベルリンの壁が崩壊

これ以降、世界はひとつになり、グローバリゼーションという思想が席巻します。

1995年には、誰でもコンピュータを触れることを可能にしたオペレーティング・システム「Windows95」を搭載した「魔法の機械」が、一斉に発売されました。

スーパーマーケットのソフトドリンクの横に山積みされたコンピュータは、持ち帰って、電源を入れれば、誰でも扱うことができたので、瞬く間に普及したんです。

その「魔法の機械」は、ネットワーク、と言っても当時は、AOLなどのパソコン通信に接続可能で、遠く離れた場所に起きたトピックを、テレビやラジオ、そして新聞よりはるかに早く、リアルタイムで入手することが可能でした。

これが、大衆のなかでも、ある特定層に熱狂的に好まれたんです。

投資家です。

投資家は、誰よりも早く情報を手に入れようと、早い回線とルーターを自宅に設置し、行ったことも見たこともない土地にある企業に次々と投資し、株式市場は熱くなります

また、このパーソナルコンピュータおよびネットワーク、というかパソコン通信というメディアの登場とともに投資を始めた者も多くいました。こうして、狂騒のインターネットバブルは、幕を開けました。 

2000年に崩壊するまで

実は、インターネットが普及したのは、インターネットバブル崩壊後です。

米国では2001年から2002年にかけて、普及率が40%から60%に急進。2007年に75%まで伸びました。そしてこの間、米国では、あたらしいバブルが巻き起こっていました。

それがサブプライムで、ご存知のように崩壊し、いまも世界経済は完全に立ち直ったとは言えません。

しかし、よく考えてください。現在、スマートフォンと高速ワイヤレス回線によるバブル崩壊を僕らはまだ迎えていません

もし、僕の仮説、つまりあたらしい「魔法の機械」の普及によって「情報の爆発」が人間の欲望による悪巧みを掻き立て、それがバブルから崩壊へと誘うのが近代史の教えだとしたら、スマートフォンと高速ワイヤレス回線が地球の隅々まで普及したいま、必ずバブル崩壊が起きるのではないでしょうか。しかも人類史上最大の。なにしろ、この10年の情報量は、それまで何万年の情報より多いんです。

10年前にスマートフォンが登場し、急速に世界中に普及してから、まだ経済的な大きな変化は起きていません。

最近、AIから自動運転まで、「先の不安」ばかり話し合っているように見えますが、その前に「それまでのツケ」を必ず支払う必要があるんです。

つまり、スマートフォン・バブルのツケは必ずやってきます

この先数年は、波乱万丈になるでしょうし、同じほどチャンスがあるとも言えますね。

MAG2 NEWS:ズバリ、どんなチャンスがあるのでしょうか?

高城:1920年から1933年まで、米国では禁酒法の時代でした。

「酔いをもたらす飲料」の販売が一切禁止され、先ほどお話しした「狂騒の20年代」から「世界恐慌」につながる、まさにバブルから崩壊期のことだったんです。

この時、違法に酒を売ってた場所は「スピークイージー」と呼ばれ、これが今日のクラブカルチャーへとつながります。当時の音楽はジャズで、「スピークイージー」に欠かせないサウンドだったんです。

また、この時に密造酒を売って大儲けした人たちがいます。

それが、ブッシュ家ケネディ家などで、その資金を元に政治に進出しました。

実は名家でも、なんでもないんですよ。

もし現在、史上最高の株高から、そのバブルが崩壊する過程にあるとしたら、当時の「に代わるものは、「大麻」だと思いますね。

WHO(世界保健機関)によって大麻が禁止になったのは、1937年からで、酒の解禁と交代になったことがよくわかります。

アルコール業界や石油業界のロビー活動もあったんでしょう。

しかし、人間の体に害を及ぼすのは酒のほうが明らかで、消毒液ぐらいにはなっても、薬にはならない。この大麻が現在、続々解禁へと向かっています。

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今年の6月に大麻を禁止したWHOが科学的見地をもとに見直しレポートを発表する予定です。

このWHOの決定が、米国や日本の大麻禁止法の根拠となりますので、この根幹が崩れようとしてるんですよ。そうなると、数年以内に連邦法や、それに事実上準ずる日本の法律も変えねばなりません

つまり、僕たちは、かつての「禁酒法」のような「大麻禁止法」のなかで現在暮らし、それがもうじき解禁されようとしているんです。

WHOの会議は5月に開催され、発表は6月と考えられていますが、それを見越した世界の動きは、驚くほどに早い。

カナダは、今年の夏から先進国で初めて、全面的に娯楽大麻を解禁します。

アジアでもタイや台湾で医療大麻を始める可能性が高く、グアムは、「医療大麻観光立国」を公言し、そのターゲットは日本人なんです。

また、投資家もこのマーケットに巨額を投げ込んでおり、スマートフォンバブルより、すでに資金が集まってます

市場規模は2020年に3兆円になると言われていますから、美味しいんでしょうね。

でも、個人的には、娯楽大麻解放には、全面的には賛成できません。

というのも、近年抽出技術が進んで、陶酔成分のTHCをピンポイントで引き抜くことができるようになったからです。

あれは、危ない。

その辺りに生えているやつなら、6%程度のTHC含有量しかありませんし、ブリーディング種でも、18%程度です。でも、抽出を極めるとTHC100%が可能です。

一方、この抽出技術を使って、薬効成分の高い良質な引き抜きも成功しています。

それが、CBDです。

CBDは、難病と言われたてんかんの特効薬だとCNNでドキュメンタリーが放送されてから、世界中で大ブームになりました。

その後、認知症やガンの転移にも有効的なことが、判明しています。

CBDは、米国でも日本でも一応合法ですが、連邦法の手前、日米ともにAmazonで販売することも、GoogleやFacebookに広告を出すこともできません。

ですので、独自サイトで購入するのが一般的ですが、商品は玉石混合なんです。

まさに、「禁酒法」時代の「スピークイージー」ですよね。

このCBDの大量生産地として急速に伸びているのが、中国の黒竜江省です。

気候が悪く、あまり作物がとれないこの地域では、最大の農産物になる可能性があります。ドローンもそうでしたが、日本が及び腰になって、あちこちの顔色ばかり伺ってると、あっという間に中国に抜かれてしまいますよね。

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高城未来研究所は、近未来を読み解く総合研究所です。実際に海外を飛び回って現場を見てまわる僕を中心に、世界情勢や経済だけではなく、移住や海外就職のプロフェッショナルなど、多岐にわたる多くの研究員が、企業と個人を顧客に未来を個別にコンサルティングをしていきます。毎週お届けするメルマガ「FutureReport」は、この研究所の定期レポートで、今後世界はどのように変わっていくのか、そして、何に気をつけ、何をしなくてはいけないのか、をマスでは発言できない私見と俯瞰的視座をあわせてお届けします。

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