独裁一直線の習近平、実は報復を恐れて引退できない説

 

3月5日に開幕した第13回全国人民代表大会で採択される、国家主席・副主席の任期撤廃。これにより習近平氏への一極集中体制が確立される中国ですが、習氏が権力を手放せないのには深刻な理由がある、とするのは台湾出身の評論家・黄文雄さん。自身のメルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』で、習近平、そして副主席に就任する見通しの王岐山両氏が権力の座から下りるわけにいかない、驚くべき理由について記しています。

※本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2018年3月6日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め3月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:黄文雄(こう・ぶんゆう)
1938年、台湾生まれ。1964年来日。早稲田大学商学部卒業、明治大学大学院修士課程修了。『中国の没落』(台湾・前衛出版社)が大反響を呼び、評論家活動へ。著書に17万部のベストセラーとなった『日本人はなぜ中国人、韓国人とこれほどまで違うのか』(徳間書店)など多数。

【中国】じつは報復を恐れて引退できない習近平と王岐山

車をバックさせる動画、中国で出回る 皮肉を込めて

前回のメルマガでも書きましたが、2018年3月の全人代では、「2期10年という国家主席の任期も撤廃されることが決定しました。また、憲法改正により、憲法に「習近平思想」が記載される見込みです。毛沢東時代への逆戻りするかのような習近平の権力集中です。

この習近平の権力強化を揶揄する動画が、中国では大量に出回っているそうです。それは、軽快な音楽を流しながら車をバックさせるように誘導するもので、中国が毛沢東時代に逆戻りすることを暗示したものだといいます。

習近平国家主席を揶揄 車をバックさせる動画、中国で大量に出回る 歴史が逆行しているという皮肉を込めて(YouTube)

中国語では車のバックのことを「倒車」といいますが、中国版のツイッター・微博では、この言葉が検索できなくなったといいます。中国人もなかなか皮肉がきいています。

私は、習近平は前漢を乗っ取って「新」という国をつくった王莽に似ていると思っています。王莽は前漢を武力で滅ぼしたのではなく、謀略によって皇帝の座を奪いました。だから「簒奪」と言われるのですが、帝位を簒奪するにあたり、王莽は儒教の古典を利用して自らの帝位継承を正当化しました。習近平が自らを神格化していることに似ています

また、王莽は周の時代の、儒教思想に基づく政治制度を用いて理想国家を作ろうとしました。儒教では、ユートピアは天上ではなく天下にあると考え、コスモポリタン的な考え方が強い、社会主義に近い思想なのです。だから王莽が実現しようとしていたのは、国家社会主義でした。

習近平は2017年10月の共産党大会で、建国100年の2049年までに「社会主義現代化強国」を打ち立てるとしていますが、そういうところも似ています。ただし王莽の政策は、理想と現実がうまくかみあわず、新はたった1代で滅んでしまいました

print
いま読まれてます

  • この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け