前回掲載の「YOUは何しに中国へ?日本人駐在員の多くが日本人に嫌われる理由」では、日本人が中国人はおろか同じ日本人からも嫌われ軽蔑される理由について明かした、中国でビジネスを展開する日本人著者・ジンダオさん。今回の無料メルマガ『上海からお届け! 簡単3分、写真で覚える生活中国語』では、中国語を話せない日本人が「信用する中国人」に騙され続けているという実態を紹介しています。
いつまでも中国人に騙され続ける性善説好き日本人
ある日本人経営者がこんな声を漏らしていたと、中国人の友人が教えてくれたのですが、私の一言で苦笑いしていました。
春節を終えてようやく、仕事モードになりつつある中国。日本と同様に春節を挟み忘年会や新年会があるのですが、友人の中国人が知り合いの日本人と新年会をしていた時の話。
「借りている事務所の家賃がまた上がる。費用対効果を考えると引っ越そうかな」。そんな言葉を漏らしていたそうですが、私が友人に「家賃の中抜き額が大きいからじゃ?」と話すと、友人の中国人は苦笑いして「確かにね」と一言。
「中抜き額が大きい」と言うのは、例えば会社Aがオフィスビルに支払う額が毎月10万元とした場合、オフィスビルから会社Aのスタッフへキックバックされ、「中抜き」されている額の事を指します。
よくある話ですが経営者の日本人は中国語が分からないのと、面倒な契約関係は自分が信用するスタッフに対して、ビル探しや契約を依頼するのですが、そのスタッフはビル側と2つの交渉を行う場合があります。それは会社スタッフとしてビル契約の交渉を進めるのと、契約後に毎月自分に幾らキックバックをしてくれるかの交渉です。
性善説が大好き日本人の感覚からは「そんな事はあり得ない」と、思うかも知れませんが、実際によくある話です。「うちに限って」と言っている会社に限って、起きているかも知れません。
全ての中国人に該当することではありませんが、責任を与えると「責任の範囲であれば何をしてもいい」と思い、日本人から「指摘を受けなければOK」なのと、「見つかってもあの日本人は私を信用しているのでお咎めないだろう」と、日本人は軽く思われているので、あの手この手と中抜きを考えます。
こんな話もありました。仕事で欠かすことのできないネットワーク周りのインフラ。この契約は一度締結すると大きなトラブルがない限り、仕事に影響が出るので変更することはありませんが、新規契約を目指すために責任担当者とこんな話をする営業スタッフが。「契約料は幾ら、アナタの口座には毎月幾ら」という話。
これこそ正にキックバックの王道かも知れませんが、一旦両者で契約した費用を引き落としした後に、契約先の通信会社または営業スタッフから担当者へ毎月一定額を支払うのです。
また会社に所属した状態で自分で会社を立ち上げて、立ち上げた会社から商品購入を行う手法。例えば展示会や企業ブースで配るノベルティグッズの選定を行う、企画室などの責任者が自分でノベルティ販売元の会社を立ち上げて、社内で企画やグッズ選定を行い、最終的には自分の会社経由で購入。昔の日本でもあっていたのかも知れませんが、今の中国でも同じようなルートでグッズ購入して中抜きしている事も。
大抵このような責任者は日本語が堪能で、日本人上司や責任者と懇意にするのが上手いため、日本人は全面的に安心して丸投げ。そうなったらしめたもので、アレコレ勝手にし放題になってしまいます。
立ち上げた会社等の情報は担当者の名前や電話番号、住所などで会社登記をしている場合も多く、少し中国語ができれば登記している会社名をすぐに調べることができます。
残念ながら中国語が分からない日本人は、こうやって自分が信じている中国人にいつまでも騙され続けます。「泣いて馬謖を斬る」という言葉がありますが、これができない日本人はいつまでも中国人に舐められてしまうのです。
いつも見ていて不思議に思うのは「なんでこの中国人を信用しようと思ったのか?」という経緯。いい中国人、悪い中国人を見分ける目を養わないといけませんね。
ジンダオのここだけの話
中国人に騙され続ける中国人に対して、「泣いて馬謖を斬る」が出来ない日本人。コレが出来るとピリッと社内が締り、日本人に対して見る目が変わるようにも思えます。
今日の記事でも触れましたが「性善説が好きな日本人」、悪い中国人からすると「鴨ネギ」です。信じることは大切です。それは私も同じ思いです。が、信じる相手を間違えています。
何故間違えるのかは、自分が中国語が話せないため、選択肢の幅が狭くなるから。また日本語を話す中国人からの情報しか耳に入らず、偏った情報に頼らざるを得ないから。場合によって性悪説と性善説を切り替えながら、対処する方が良いと思っています。
私も過去に多少なりとも中国人と交流をしていますし、騙された事もありますし、助けられた事もあります。
自分が偉い立場では無いので、中国人の本性を見ることもできますし、兄弟と言ってくれる裏切れない中国人の友人もいます(会ってすぐに兄弟や友達という中国人は信用しませんけど)。
私なんかは日本人を騙そうとしている中国人からすると邪魔な存在。妙に中国慣れして中国語は話すし、商習慣も少しは知っていて騙しにくい上、自分達の仲間に入ってくれそうにもない。
同じ会社にいる日本人は仲間でしょ? 助けないの? と思われるかも知れませんが、中国ビジネスにやる気が感じられないスタッフは同じ日本人だとしても、私にとっては仲間ではありません。冷たく聞こえるかも知れませんが単に同じ国籍の人です。
そのため、私を信じてくれやる気のある中国人や日本人と一緒にビジネスをやる方が楽しいので、あまり関わらないようにしています。騙されても騙されている事が分からなければ、それはそれで幸せなのです。
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