内閣支持率が10ポイント急落。遠のく改憲、近づく安倍政権の終焉

 

1年がかりの逃げ切り大作戦が失敗して

森友学園、加計学園が政府から特別な扱いを受けていて、それはその両方の経営者が安倍首相夫妻のお友達だからではないかとの疑惑が明るみに出たのは、昨年の2月から3月にかけてのことである。が、安倍首相はシラを切り続け、とりわけ森友に関しては「私や妻が関係していたということになれば、首相も国会議員も辞める」とまで開き直り(2月17日衆院予算委)、以後ひたすら逃げまくって国民が忘れるのを待つという戦術を採った。そのため昨年春の通常国会を6月で早々に閉会して、秋から冬にかけて、出来るだけ国会審議が開かれないように計らい、また告発者である森友の経営者=籠池夫妻を7月に逮捕させて未決のまま今に至るまで不当勾留し続けるなど、卑劣の限りを尽くしてきた。

しかしここへ来て、森友への国有地払い下げ交渉の経緯を示す公文書が大がかりに改ざんされていたことが明らかになり、それを直接担当していたとされる近畿財務局職員が3月7日に自殺。その衝撃の中で2日後に佐川氏が国税庁長官を辞任したことで、安倍首相のこの1年がかりの逃げ切り大作戦は破裂してしまった。しかも、佐川氏の理財局長当時の国会答弁の原稿づくりを担当していたと言われる理財局国有財産業務課の係長も1月29日に不審死を遂げていた事実も浮上して、この件は俄に「死の臭い」が立ち籠め始めてきた。

これは安倍首相にとって最悪の展開である。実際に誰が改ざんを命じ、それを高位の誰がいつから知って了承を与えていたかなどの事実関係の解明は、これから佐川氏その他関係者の証人喚問などを通じて進められていくに違いないが、そういうことを超えて、これが要するに安倍首相夫妻の嘘にまみれた言い逃れを助けるために罪のない真面目な官僚が1人ならず命を捧げなければならなかった、言語道断の出来事であるという直感的真実が、国民の間に広く定着しつつある。上の世論調査の数字はその反映で、従ってこれに歯止めをかけるのは至難の業である。

この問題は直ちに他のテーマにも波及する。例えば3月14日付「読売新聞」の第4面の半分ほどを使った解説記事の見出し「『森友』改憲日程に暗雲/『国民的議論』機運しぼむ」が示すように、3月25日の党大会までに改憲案を何とかまとめようとしてきた細田博之=憲法改正推進本部長の苦心の努力は吹き飛んでしまった。森友文書の改ざん問題でつまづいたため、自民党がめざす「年内の改憲の国会発議は不透明になりつつある」。同党内では「改憲論議どころではない」というベテラン議員の本音が漏れ、また公明党幹部も「もう憲法改正は遠のいた」と冷ややかに語っている、と同紙は述べている。

改憲と9月自民党総裁3選はもちろん裏腹なので、改憲の道筋が立たないのに安倍首相が3選されることはあり得ない。それどころか、このままでは立候補さえ出来ないのではないか。

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