内閣支持率が10ポイント急落。遠のく改憲、近づく安倍政権の終焉

 

目眩ましとしての「日朝首脳会談」構想

このように政局が行き詰まりそうになると、何か奇策を編みだして国民に目眩ましをかけて生き延びるというのが、安倍側近チームの常套手段である。そこで出てきたのが、急遽、安倍首相が訪米してトランプ米大統領に米朝首脳会談で拉致問題を取り上げて貰うようお願いするという素っ頓狂としか言い様のない思いつきであり、それがどうも真剣に取り合って貰えそうにないことが分かると、今度はもっと踏み込んで「日朝首脳会談」を実現してその問題を直接、金正恩と交渉するという夢みたいな話である。

断言するが、北朝鮮は相手が安倍首相である限り日本との首脳会談に応じることはない。それは当たり前で、小泉政権が苦労して成し遂げた02年の日朝ピョンヤン宣言をブチ壊したのは当時の官房副長官だった安倍首相であって、北は安倍首相を相手にしない。

最近の平昌五輪を契機とした南北対話から米朝交渉へという新しい流れに関しても、安倍首相がこれまでやって来たことと言えば、「対話のための対話は要らない」「北が屈するまで最大限の圧力を」と、まるで戦争になるのを辞さないかのような口先だけの勇ましい言葉を振りまくことでしかなかった。それでも南北対話や米朝交渉が始まるのを阻止できないことが分かると、まずは「北に欺されるな」などと妨害し、それもダメだと今度は拉致を持ち出して何とか日本の存在感を示そうという身勝手さである。

拉致はもちろん日本にとっては重要関心事であるけれども、北朝鮮が体制存続を賭けて朝鮮半島の戦争状態を65年ぶりに終わらせられるかどうかの世紀の大勝負に打って出ていて、米国もそれなりに真剣にそれに向き合おうとしている時に、日本が「あのー、すいません、日本は拉致という問題を抱えているので、これも是非、お二人の会談で取り上げて貰いたいんですけど」と言いに行くことが、どれほど滑稽かつ無礼なことであるか、安倍首相はさっぱり分かっていない。

※本記事は有料メルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』2018年3月19日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

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2018年2月分

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  • 《INSIDER No.927》「護憲的改憲」論の本当の意味はこうだ!──25年前からの本誌の議論を振り返る/《CONFAB No.327》閑中忙話(18年01月28日~02月03日)/《FLASH No.238》魔球的な9条加憲案も取り下げようという安倍首相の不格好──日刊ゲンダイ02月01日付から転載/《SHASIN No.298》付属写真館(2018/2/5)

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早稲田大学文学部卒。通信社、広告会社勤務の後、1975年からフリー・ジャーナリストに。現在は半農半ジャーナリストとしてとして活動中。メルマガを読めば日本の置かれている立場が一目瞭然、今なすべきことが見えてくる。

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