まず麻生氏辞任、それで止まらなければ総辞職?
この状態を抜け出す道はあるだろうか。
安倍首相としては今のところ、佐川氏1人を生け贄に差し出すことで収拾できないかと考えているようで、これが第1防衛線である。しかしこれはいくら何でも甘すぎて、たちまち破られて、理財局と近畿財務局でこれに関わった関係者が少なくとも何人かが呼び出されることになるのは避けられない。
それを通じてますます疑惑が深まっていく中で、野党は当然、次のステップとして、昭恵夫人の証人喚問を厳しく要求するだろう。ここが難しい判断で、安倍首相としては恐らく、盟友であり内閣の重石でもある麻生太郎副総理・財務相の首を切って、それが第2防衛線となって止まるのか、どうせ止まらないのであれば思いきって昭恵夫人の喚問を第2防衛線にするのかという選択が迫られよう。
もちろん、昭恵夫人が喚問でズタズタにされる姿を何が何でも世間に晒したくないのが安倍首相だから、前者を選択するしかないのだけれども、それでも逃げ切れずに、せっかく麻生氏を義性にしたのにやっぱり昭恵夫人が呼ばれるというリスクが残る。
さらに、もっと大きなリスクとして、麻生氏の恨みを買って敵に回すことになり、下手をすれば麻生氏が安倍首相を道連れにして内閣総辞職に転がり込むことになりかねず、たとえそうならなくても、9月の総裁3選は麻生氏によって完全にブロックされるに違いない。
そうなると、昭恵夫人を第3防衛線に仕立てて、内閣を守り、3選の可能性を少しでも残すしか方法がない。しかし、私の予想では、昭恵夫人を犠牲にして麻生氏を守りつつ内閣崩壊を避けるという選択は、安倍首相にとってはあり得ない。昭恵夫人を晒すくらいならその前に進んで内閣総辞職をした方がマシということで、つまりは自分とその内閣を第3防衛線にして、昭恵夫人を守るということである。
この政局双六は、国民生活とも国際情勢とも何の関わりもない安倍首相夫妻の生き残りのためのゲームに過ぎないが、どちらにしても彼らにとってハッピーな「上がり」は用意されていない地獄への道である。