担当者のシッポ切りで終わらせるな。トラブル発生は上司の責任

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以前掲載の「美味しい寿司屋を見抜く方法は? 食品安全のプロがコツを伝授」で、絶対に失敗しない寿司屋の選び方を教えてくれた無料メルマガ『食品工場の工場長の仕事』の著者で食品安全のプロである河岸宏和さん。今回は、製造現場で問題が起きた際に責任を取るべき人物は誰か、現場のやる気の引き出し方などについて解説しています。

上司が責任を取ると言うこと

俺が責任をとるからしっかりやってこい

チームで仕事をするときに重要なのは誰が責任を取るかと言うことです。例えば急に注文を受けてしまって、一日の生産能力を瞬間的に超えてしまう場合を考えて見ます。

最終殺菌後の冷却能力を超えて十分に冷却をすることが出来なく、最終的に異臭クレームを出してしまったとします。この場合の責任は、最終の冷却温度を守らないで出荷してしまった担当者が一時的に責められますが、冷却能力を超えて受注を受けているので、ルール通りに温度管理をしっかり行うと今度は出荷時間に間に合わなくなって欠品を起こしてしまいます。誰が異臭クレームの責任をとればいいのでしょうか。受注してしまった生産管理の方でしょうか、それとも製造部長でしょうか。

このときこそ、工場長が自分の工場の能力を超えて受けてしまった事を反省して責任を取らなくてはいけないのです。工場長が責任を取ると、次回からは、現場の方から「こうすれば問題が無くなります」、「もっとこうすると生産能力があがります」と言った知恵が聞けるようになります。もし、工場長が責任を取らずに組織の尻尾を切って担当者を処分などをしてしまうと、製造現場は簡単にこの工場を離れていってしまうのです。

工場能力上出来ない製造量をこなして責任を取らされると理屈では無くその場所では働けなくなってくるのです。工場に残るのは言われたことだけを行い、決して無理をしない方ばかりが残ってしまいます。

スポーツでも同じです。9回裏のあと一本ヒットが有れば勝てる試合の代打の方が三振した。テニスの団体戦で最終の組が負けてしまった等、確かに三振する選手の能力が低い事も有りますが、その選手に代打を指名した責任が残ります。

選んだ責任は工場長のあなたなのです。「あいつはだめだ」「他に代わりがいないだろう」などと言った事を話す方もいますが、だめなら毎日練習をさせる事が必要です。あいつはだめなんだといいながら、毎日飲み歩いて練習もしていない選手を使い続けるような方は非常に多く見かけます。

工場長のために仕事をしてくれますか

「今度、工場長が引っ越しをするから日曜日に引っ越しの手伝いに行くんだ」とか、「工場長は何時も休みの日にあそこで釣りをしているからビールを買っていくんだ」などと言った事では無く、あくまでも工場内の仕事を工場長のためにしてくれるかどうかと言うことです。

生産量が急に増えたとき、設備がトラブルを起こして、いつもは工場を動かさない時間に工場を動かさなくてはいけなくなった時、定休の時にどうしても出勤しなくてはいけなくなった時、あなたの部下はあなたのために仕事をしてくれますか。あなたが「俺が責任をとるからしっかりやってこい」と言っているか、普段の仕事の仕方が組織の尻尾きりをしていないかが、このとき出てきます。

あなたの工場では部下が安心して働いていますか? 私のお話が皆さんの工場管理を、耕し続けるヒントになれば幸いです。

image by: shutterstock.com

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【著者】 河岸宏和(食品安全教育研究所 代表) 【発行周期】 ほぼ 週末刊

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