教育の現場で頻発する「いじめ」を見つめ続けてきた無料メルマガ『いじめから子供を守ろう!ネットワーク』。今回の記事では、学校でのいじめを止めるどころか逆に助長し、生徒を不登校にまで追い込んだ担任教師、「暴力はいじめでない」と言い放ち、挙句は調査を放棄した市教委の第三者委員会など、静岡市の呆れた実態を明らかにしています。
「暴力」は「いじめ」ではない?
静岡市の小5男子が、いじめにより昨年から不登校になっています。市教委は重大事態として捉え第三者委員会による調査を行っていました。生徒は、クラスの29人のうち27人から「菌」などと呼ばれるいじめを受けていたことが学校の調査で分かっています。記者会見した保護者は、ズボンやパンツを脱がされるなどのいじめも受けていたことを公表しています。
しかも担任は、いじめを見ていても注意せず、逆に被害者を叱るなどしていて、被害者側弁護士は「先生がやっているんだからと皆も加わった」と述べいじめが広がった原因が教師にあるとしています。
被害生徒が「最期の手紙」と題した手紙を書いていたことも判明いたしました。その中で、
- クラスのほとんどの友だちから菌と呼ばれて苦しかった
- 先生がいたけどなにも注意してくれなかったし、見て見ぬふりをしていた
- 先生がいなくなればいいと思いました
などと書いています。母親によると生徒は自殺を考えたり、味覚異常などを起こしているといいます。
保護者が、市教委の第三者委員会に対して不信を表明したことを受けて、市教委の第三者委員会は「調査継続が困難」とし、今後の調査は市長部局の第三者委員会に移行する方向になっています。以上のような状況ですが、ポイントをまとめてみます。
- 学校は「いじめ」があったことを認めている
- いじめは言葉だけでなく服を脱がす等のいじめもあった
- 担任は見て見ぬ振りを続けていた
- 本人は自殺を考え、身体的にも異常をきたしている
特に市教委の第三者委員会は、母親の記者会見を受けて、調査をおっぽり出すなどという暴挙に打って出ています。クレームをつけられたから「私たちはやりません」では話にもなりません。しかもこの委員会は、暴力行為については「いじめではない」と報告書で述べているというのです。
学校、教育委員会が、速やかに「いじめを認定」したところまではよかったのですが、第三者委員会の対応に疑問が残ります。新聞報道を見る限りではありますが、第三者委員会の人選に問題があったと言わざるを得ない状況です。
文部科学省の「いじめの重大事態の調査に関するガイドライン」でも、被害者側への調査方針の説明等について、「被害児童生徒・保護者に寄り添いながら対応することを第一とし、信頼関係を構築すること」とあります(「いじめの重大事態の調査に関するガイドライン」7ページ)。被害者側が第三者委員会に不信感を持っていたら、まずは丁寧な説明をして誤解を解く努力をすべきでしょう。