また、委員会の報告書の「暴力はあったが、いじめとは認識していない」という結論は、ありえません。文部科学省も、「叩く」ことはいじめにあたるとしています。毎年いじめ認知件数が発表されますが、いじめの内容として「軽く叩かれたり蹴られたりする」、「ひどく叩かれたり蹴られたりする」ことが挙げられています。また、ご存知のように、いじめ防止対策推進法は、いじめられた子供が、いじめられたと苦痛を感じていれば、それは「いじめ」だと定めています(同法第2条 注)
今回の静岡市の第三者委員会委員の浅い知識と、いじめに対する理解のなさが問題を大きくしていると言えます。
ただ、クラス中にいじめが蔓延するような状況をもたらしたのは担任だったことも忘れてはなりません。文科省の「いじめの重大事態の調査に関するガイドライン」では、
「法律や基本方針に照らして、重大な過失等が指摘されている場合、…教職員の懲戒処分等の要否を検討すること」と、定めています(「いじめの重大事態の調査に関するガイドライン」14ページ)。文科省は、先生方に対して、この「処罰がありえる」ことを広く周知すべきだと思います。
子供たちに加担したり、黙認する行為は、明確に「いじめ」であり、「懲戒処分」の対象になるはずです。いじめをしない子を育てることは大切ですが、いじめが起きた場合には、すぐさまいじめを止めるのは「教師の義務」です。これを徹底することは、学校のいじめ防止の基本だと思っています。
これからいじめが増えていく季節です。ご心配なことがありましたら、ご遠慮なくご相談ください。
いじめから子供を守ろう ネットワーク
井澤・松井
※ 注:いじめ防止対策推進法
(定義)
第二条 この法律において「いじめ」とは、児童等に対して、当該児童等が在籍する学校に在籍している等当該児童等と一定の人的関係にある他の児童等が行う。
心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む。)であって、当該行為の対象となった児童等が心身の苦痛を感じているものをいう。
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