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どろんこの服は「子供が素敵な1日を過ごした」証拠、気にするな

日本人の躾には「人様に迷惑をかけない」「世間にみっともない姿をさらさない」など、恥の文化が根底に流れているようです。大切な価値観ですが、幼いうちから強いると好奇心・チャレンジ精神・多様性の受容といったマインドの委縮を引き起こしかねません。「なぜ、友達作りが上手な子どもの親は子と一緒に公園へ行くのか」が好評だった無料メルマガ『子どもが育つ「父親術」』では、「服の汚れ」からこうした現状に問題提起します。

どろんこ~服を汚すことについて

子どもは、よく服を汚します。食事をこぼすのは毎日のこと。それに加えて、外遊び・水遊び・泥遊び・絵の具・クレヨン・サインペン…。

親としては、正直がっくりきてしまうことも多いと思います。普段洗濯を担当している方であれば、洗濯機に放り込む前に手洗いしなきゃいけない面倒が頭をよぎります。あるいは「買ったばかりなのに…」「お気に入りだったのに…」「○○の日に着る予定だったのに…」などなど、いろんな形でショックを受けてしまうこと、皆さんも一度や二度ではないと思います。そして、落胆のあまり悲しんだり怒ったり子どもを叱ったりしてしまうことも、あるのではないでしょうか。

一方で、当の子ども本人はと言うと、遊びの最中はその瞬間瞬間を100%集中して遊びに打ち込んでいるもの。100%集中してしまっているからこそ、服が汚れる可能性があることや、実際に服が汚れていることに気がつかないのです。そして、服が汚れたことに気がついたとしても、子ども自身は残念には思いません。

ここが大切です。子どもは、服が汚れたことを気にしていないのです。仮にその服が買ったばかりであっても、お気に入りだったとしても、何かの日に着る予定だったとしても、です。

子どもは、「服が汚れたこと」は気にしません。「服が汚れたことを気にする親の様子気にするのです。親が服の汚れを気にすることを繰り返すと、やがて子どもは、服が汚れること自体も気にするようになってきます。

この変化を言い換えると、「好奇心・活動意欲に対するブレーキが、子ども自身の中に生まれてくる」とも言うこともできます。さらに正確で厳しい言い方をすれば、「好奇心・活動意欲に対するブレーキが親によって子どもの中に植え付けられる」という事態が惹き起こされることになるのです。

親の反応を見て子どもまで服の汚れを気にするようになることは、見方を替えれば「自分の行動の結果が、誰にどんな影響を与えるかを考慮する姿勢・スキルを学ぶ」と言うこともできるでしょう。

ですが、就学前の子どもであれば、そのスキルを身につけさせようと考えるのは時期尚早。むしろ、遊ぶ時くらいはせいせいと楽しませてあげたい(そして、夢中になって遊ぶ中でこそ学べることもいっぱいある)と、私は考えています。

この問題に関連して、私が気懸かりに思っていることがもうひとつあります。それは、保育士さんなどが、服が汚れないように気を配って子どもの遊び・活動を制止してしまうこと。

保育士さんたちが子どもを制止するのは、子どもを預ける親の側に「汚さないで欲しい」という要望や、汚すことへの苦情があるから。

その一方で、親は「のびのびと育って欲しい」とか「もっと外遊びを」などを望んだりしています。「『のびのび・元気・外遊びでも汚さないで』」ではアクセルとブレーキを一緒に踏んでいるようなもの。矛盾した要望に応えようとすればするほど、保育士さんたちは摩耗してしまいます。

子どもの育ちに立ち会う・寄り添うという大切な役目を担ってくれているのだから、本来の仕事がしやすくなるような関わり方をしたいものです。

私事になりますが、我が家の子どもたちが通う保育所は、その点で本当に恵まれた場所です(そういう保育所をわざわざ探して選びました)。

迎えに行って、洗濯物の中に元の色が分からなくなった靴下・ズボンを見つけたことも、何度もあります。「私でさえ、ここまではやらせてあげられないな~。きっと途中で『それくらいにしといてくれ』と言ってしまうだろうなぁ」と考えながら、我が子がこの保育所に出会えて良かったと感じています。

皆さんも、汚れた服は子どもが素敵な1日を過ごした証拠と捉えて、寛容になってあげていただけたら嬉しいです。さらに言えば、汚れた服を見て「きっと今日は楽しかったんだろうなぁ!」と喜んでいただけたら、もっと嬉しいです!

image by: Shutterstock.com

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【著者】 パパコーチ くろさわ 【発行周期】 週刊

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