お店に入る前にサービス券をもらうと得した気分になる方は多いと思いますが、おいしいものを楽しく食べたいのなら、ちょっと考え直した方がいいかもしれません。今回の無料メルマガ『飲食店経営塾』では飲食店コンサルタントとして活躍中の中西敏弘さんが、実際に体験した「残念な事例」を基に、人を元気にできる飲食店の選び方を解説します。
「もう二度と…!」と感じた、ある日の出来事
先日、知人と飲食店に行ったときのこと。行く店は事前にネットから探し、あるお店を目指しました。さて、その店がビルの4階にあり、場所を無事見つけられたことに安堵し、さあ、上に上がろうかと思っていたら、
「どこの店いきますか? 4階なら、サービス券ありますよ?」
と、サービス券の本来の使い方でないことに“爆笑”しながらも、でも、「安くなるからもらっとくか!」と一応サービス券を貰って4階の店に急いだ。エレベーターの扉が開くと、少し高級感がある店内で、「美味しいものたべられるかも!」ってちょっと期待したのが良くなかった…。
まず、スタッフはあまり愛想もなく、「よくそのネイルで仕事ができるね」って感じの女性スタッフ。社員もあまり愛想もなく、せっかくマグロを売りにした店にも関わらず、部位等の説明もなし。おまけに、商品も美味しくなく、全然箸が進まない。だから、知人との話も盛り上がらない!
ということで、40分もしたら店を出たくなり、お会計をお願いした。すると、会計は、9,000円を超えていた。ドリンクが10%引きだったけど、あまり酒が進まずその恩恵をほとんど受けられなかった。
しかし、ビックリ! これで9,000円かと!
驚きを隠せないまま、そそくさと、エレベーターに乗り店から退散。下に着いて、知人に僕が大きな声で話したことは、
「2度と客引きでサービス券を配ってる店は利用しない(怒”)! 仮に、自分が探してた店でも、店頭等でサービス券配ってたら、その店には絶対に入らない!」
って、イライラしながら次の店を目指した。次の店に向かいながら、気持ちの整理をしてよくよく考えると、立地のいいところにある店なのに、サービス券をまかなければならないということは、「それだけ集客に苦戦している店」だということだ。
この店の客単価とか、メニュー構成、などコンセプトを考えると、「価格」や「販促」で呼ぶような店ではない。なのに、集客をしているということは、それだけお客様に「価値」を感じてもらえない店ということでもある。
だから、店の努力の方向性とすれば、商品や接客の「質」を上げることに費用を使うべきなのに、サービス券に店の大事なお金を使うんだから…、期待するような店でないことは、冷静に考えれば明らかなことだった。
もし、勉強のためだったら、こういった店もひとつの材料になるけど、本当に飲食を楽しみたかったら、サービス券を撒くような店には絶対に利用しない、と心に決めた。
しかし、一方で気づきになることもあった。
食事がまずいと会話が弾まなくなり、また、機嫌も極端に悪くなるということ。
反対に、美味しい食事と美味しいお酒、そして、居心地のいい空間があり、この価値をさらに向上させる接客。これらがあると、一緒にいる人との時間も楽しくなるし、気分もウキウキ、ワクワクする。
もし、気分が落ち込んでいたときに、僕が今回利用したような店を利用してしまったら、知人とは喧嘩になるかもしれないし、余計に気分が落ち込む。でも、本当にいい店なら、すごく元気になれるかもしれない。
飲食店が人を元気にするってやっぱりあるし、“人を元気にできる”って飲食店ってやっぱりすごい! という気づきも得られたので、今回は良しとするかと二軒目の店では大いに盛り上がりました。