業界を革新するために
さて2年前、日本のバスケットボールの世界が壊れようとしていたとき、川淵三郎氏が登場しました。そして、見事にバスケットボール界を立ち直らせたのは記憶に新しいところです。あの時、川淵氏を動かしたのは何だったのでしょうか。それは、スポーツを愛する人に対する「思い」ではないかと考えています。我がスポーツ用品業界にも、そんな人はいるはずです。
今、スポーツ用品業界は、かつてのバスケット界のように大変な危機にあります。例えれば、徳川幕府の末期のようなものです。危機に面していることは分かっていても、どうしたらいいか分かりません。ということは、業界に幕末の志士のような人材が必要なのかもしれません。
とはいえ、事態は幕末に比べれば、そんなに難しくはありません。そのために行うことは、メーカーさんも問屋さんも小売店さんも一緒になって業界の将来を絵にかくことです。
例えば、業界全体でARやVRの技術を導入することを考えます。そうした機器や技術を持った企業と手を組んで、スポーツ業界で活用できるアプリやソフトを開発すればどうでしょう。問屋さんも新しい活躍の場が出来ます。そうすれば、スポーツ選手ばかりでなく、観戦者、応援者もお客様となっていくことでしょう。
また、スポーツの組織やチームのための人材育成を業界が一丸となって推し進めます。例えば、最新機器を使って、スポーツに必要な戦略分析や選手管理ができる人材の養成に力を入れればどうでしょう。プロアマ、組織の大小問わず、技術向上、戦力アップに貢献できます。そして、スポーツ組織の経営やマーケティングに長けた人材を養成することも、業界の要請です。業界が一つになって育てるべきではないでしょうか。
そしてまた、スポーツツーリズムという動きがあります。業界と各自治体が連携して、各地のスポーツを盛んにし、地方創生を図るということも時代の要請です。ここにも新しいビジネスチャンスがあります。
ここにあげたいくつかのことは、スポーツ産業として国が支援をしようとしている分野です。この動きに、スポーツ用品業界として乗っていくことが吹いている風をつかまえるということではないでしょうか。
もっとも、私がくどくどと言わなくても、既に考えておられる業界の方はいるはずです。ぜひ川淵チェアマンのように前に出て、業界を引っ張り革新していって欲しいと切望しています。
■今日のツボ■
- このまま手を打たなければ、スポーツ業界はしぼんでいく
- 業界を引っ張っていける人材が必要である
- 業界が一丸となってチャレンジしていけば、道は開ける