全ては中国封じのため。米ロ首脳会談が日本にメリットだらけな訳

 

それでも会談は成功

米ロ関係は、2014年3月のクリミア併合以降、ほぼ一貫して悪化しつづけている。トランプとプーチンが会っても、いきなり具体的成果がでるはずありません。

では、米ロ首脳会談は失敗だったのでしょうか? そうともいえないでしょう。成果は、トランプもプーチンも、「米ロ関係を改善させる!」という意志を示したこと。アメリカから見ると、ロシアとの関係改善は、「戦略的」に意味があります。

結局、世界に大国は三つしかありません。すなわちアメリカ、中国、ロシアです。アメリカは、経済力でも軍事力でもナンバー1。中国は、経済力、軍事費、共にナンバー2。ロシアは、アメリカに匹敵する核超大国である。しかし、経済力(GDP)に関しては、世界12位で韓国の下。軍事費は世界3位につけています。

こう見ると、世界で起こっているのは、「米中覇権争奪戦」であることがわかる。そしてどっちが勝つかは、「ロシアの動向に大きく左右される」ことがわかるでしょう。米ロが一体化すれば、中国に勝ち目はありません。逆に、中ロの一体化がますます進めば、アメリカの覇権はあやうくなります。

ロシアにとってのメリットは?

トランプといい関係を築けば、少なくとも「追加制裁の可能性は減るでしょう。アメリカは、今年になってからも、制裁を強化しつづけている(たとえば、スクリパリ暗殺未遂事件の後、アメリカは、ロシア外交官60人を追放した)。今回の会談は、制裁のさらなる強化を止める効果があるでしょう。

そして、米ロ関係がよくなると、「制裁破りもしやすくなります。例えば米朝首脳会談の後、「中朝貿易が活発になっている」という話を聞きますね。これは、「制裁破りをしても、アメリカは、黙認するだろう」と考えているからそうなる。米ロ関係についても、同じことがいえます。

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