今、中国はアメリカとの貿易戦争の只中にあり、経済成長も頭打ち状態です。トランプ大統領のやり方に不満を表明すべく、大豆のキャラクターを登場させてアメリカの農家に「トランプの政策はあなたたちのマイナスになる」と直訴するような動画の配信もしているそうです。
● アングル:大豆アニメで中国が米農家に直訴、貿易戦争で新戦略
米中関係は、トランプ大統領によって予想外の展開となり、習近平は戸惑いを隠せない感じすらあります。やることが裏目に出てばかりの習近平に対して、もしかしたら今後、中国共産党内の長老たちの反乱があるかもしれません。自身を中国の生涯皇帝として君臨させた習近平の、今後の動向から目が話せません。
東西の文物交流は石器時代から始まっていたことは、考古学の出土品から実証されています。海のシルクロードと陸のシルクロードで交易されていたのは、はじめは東からシルク、陶磁器、香辛料など貴族の嗜好品であり、その後、庶民の必需品へと時代によって変化していきました。
ここで最も重要なことは、かつての「文明の運び屋」であった交易の主役たちは、農耕民族の中国人ではなく遊牧民族たちだったということです。
しかし今、習近平が掲げている「一帯一路」は、ヒトもモノもカネもすべて中国人が取り仕切ろうというわけです。ユーラシア大陸からアフリカまでの世界各地に、「パックスシニカ」という大風呂敷を広げており、その構想があまりに壮大すぎて、蜃気楼とさえ言われるほどです。
中華人民共和国政府のアフリカ進出は、毛沢東の時代から始まっていました。それは、「世界革命、人類解放」という社会革命をめざす世界戦略としてでした。対アフリカ戦略としては、鉄道建設をはじめ、西洋各国の植民地に対するゲリラ支援が主で、ことに文革中は中国は国際的に孤立していたこともあり、積極的にアフリカの独立を支援していました。
また、日本からのODAをアフリカ支援に転用したり、アフリカ各地の留学生を中国各地に受け入れるなどして、黒人留学生を世界革命の前衛として育てていくことを国策としていました。その流れで、改革解放後の上海では黒人と結婚することがブームとなりました。
さらに、刑務所から溢れた中国人の死刑囚や無期懲役の囚人たちをアフリカに送り込み、労働力として提供していたこともありました。
中国とアフリカの間には、そんな歴史的な経緯がありました。「一帯一路」は世界各地で挫折しており、最初は乗り気だったEUも最近では消極的になってきたため、アフリカに活路を見出そうというわけです。
しかし、中国のアフリカ進出はその多くが不評でした。というのも、現地の雇用を産まずに大量の中国人を本国から連れてくるうえに、汚職や環境破壊をはじめ、さまざまな問題を持ち込むからです。