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トランプの恫喝にイラン激怒。ロシア巻き込み中東戦争が勃発か?

7月22日に報じられた、「イランが世界資源輸送要のホルムズ海峡封鎖を示唆」とのニュースが世界中を驚かせましたが、その真意は? 国際関係ジャーナリストの北野幸伯さんは自身の無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』で、「トランプ大統領が日欧などに要求した、イラン産原油全面輸入禁止要請に対抗している」とし、脅しともとれるパフォーマンスにトランプ流の挑発を繰り返すとNATOや周辺諸国が複雑に絡む中東戦争に発展しかねないと警告しています。

イラン、アメリカに【究極戦争】を警告!

米朝首脳会談の後、両国のバトルはだいぶ下火になりました。もちろんこれで終わりとは思えません。ポンペオさんも、交渉がなかなか進まないことを認めている。北側が、誠意を見せなければ、雪解けは長くないでしょう。それでも、現状、去年と比べるとだいぶ穏やかです。

一方、中東が騒がしくなってきました。何が起こったのでしょうか? まず、イランが、「ホルムズ海峡を封鎖する!と警告しています。なぜ?

イラン大統領、ホルムズ海峡の封鎖を示唆 米などを牽制

朝日新聞DIGITAL 7/22(日)21:43配信

 

米トランプ政権が欧州や日本など各国に求めているイラン産原油の全面輸入禁止について、イランのロハニ大統領は22日、禁輸が実行されればホルムズ海峡を封鎖する可能性を示した。イラン学生通信が報じた。

「ホルムズ海峡を封鎖する」可能性があるそうです。ホルムズ海峡とは?

ホルムズ海峡は、ペルシャ湾とオマーン湾の間にある海峡。日本に輸入される原油の約8割が通るとされるなど、世界のエネルギー輸送の生命線を握るといわれる。
(同上)

日本に輸入される原油の約8割が通る」そうです。封鎖されたら困りますね。どうして、そういう話になったのでしょうか?

同通信によると、ロハニ師は「イランは多くの海路の安全を保障しており、封鎖できる海峡はたくさんある。ホルムズ海峡もその一つだ」と言及。「イランを脅し続ければ、残念な結果を招くことになる」と語った。
(同上)

イランを脅し続ければ残念な結果を招く」そうです。誰かがイランを脅しているのですね。

最高指導者ハメネイ師も21日、「イランが原油を輸出できないとすれば、他の近隣諸国の原油も輸出できないという考えはとても重要だ」と語り、封鎖の可能性を示唆した。
(同上)

でてきました。なぜ、「イランが原油を輸出できない」状況になるのでしょうか? そう、トランプがそういっているからです。

2015年7月、「イラン核合意」成立。2016年1月、イラン制裁解除。ここまでは、オバマさんの時代。ところが、トランプになって、対イラン政策は、180度変わってしまいます。2018年5月、トランプは「イラン核合意からの離脱を宣言しました。ちなみに、合意に署名した他の国々、イギリス、フランス、ドイツ、ロシア、中国、イランは、「合意維持」を支持しています。そして、IAEAは、「イランは、合意内容を順守している」とし、維持を支持している。

この問題で、トランプ・アメリカは、かなり孤立している(反イランのイスラエル、サウジなどは、アメリカを支持)。にもかかわらず、トランプは、全世界に「イランからの原油輸入を止めるように!」と命令しているのです。具体的には、「11月から原油輸入を止めるように!」と要求しています。

これ、「命令」とか「要求」とか、「言葉が大げさすぎないか」と思う人もいるでしょう。しかし、「イラン産原油の輸入を止めなかったらどうなる?」か知れば、「妥当な用語」と思うことでしょう。もし、日本企業が、イランからの原油輸入をつづけた場合、その日本企業は、「制裁対象」になる。これは、「命令」「要求」「脅し」ですね。それで、イラン側は、激怒している。怒るのも当然でしょう。

気になる大国ロシアの動向

イランは、もっと先に行きます。

イランとの争い、「究極の戦争に」 ロハニ氏が米へ警告

7/23(月)12:20配信

 

(CNN) イランのロハニ大統領は22日、米国に対し、イランとの軍事的な争いは「究極の戦争」につながると警鐘を鳴らした。国営イラン通信(IRNA)が報じた。

「究極の戦争」につながるそうです。トランプさんも、もちろん黙っていません。

トランプ氏は22日遅く、「イランのロウハニ大統領へ。米国を二度と脅すな。さもなければ、これまでの歴史でほとんど誰も被ったことのないような結末に見舞われるだろう。米国はもはやイランが発する暴力と死の狂気の言葉を我慢する国ではない。気を付けろ!」とツイッターに投稿した。
(ブルームバーグ 7月23日)

なんか、金正恩とのやりとりのようになってきました。中東戦争は起こるのでしょうか? 起こるとすれば、どういう構図になるのでしょうか? アメリカ、イスラエル、サウジアラビア、NATO?

既述のように、トランプの要求はかなり無茶です。IAEAが「イランは問題ない」と宣言している。この国際機関以外の誰が、「イランは善」「悪」と決めることができるでしょうか?

そして、NATO加盟国イギリス、フランス、ドイツも「合意維持」を支持している。もしこれらの国々が「イラン戦争」に反対し、NATOが分裂状態になれば、アメリカの威信は大いに失墜するでしょう。

そして、イラン側につくのは、シリア(アサド)、ロシア。大国ロシアの動向が気になりますね。注目していましょう。

image by: shutterstock

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【著者】 北野幸伯 【発行周期】 不定期

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